三木:脚本を面白くすること、イコール創作を加えることだと考えている人が多すぎるんです。史実を曲げて物語を都合良く作ろうとしてもなかなかうまくいかない。やっぱり正しい歴史認識というベースがあって、そこからいかに想像力を働かせていくかが重要だと思いますね。
ただし『葵 徳川三代』(2000年)には後悔が残る。NHKの依頼で三世代を描くことになったけど、そのせいで一人ひとりのキャラクターの描き方が散漫になってしまった。脚本は「情報の取捨選択」も大切なんです。
●ジェームス三木(じぇーむす・みき)/1935年、満州生まれ。脚本家、作家、演出家。『独眼竜政宗』『八代将軍吉宗』『葵 徳川三代』など、大河ドラマの脚本をはじめ多くの執筆活動を行なう。
●磯田道史(いそだ・みちふみ)/1970年、岡山県生まれ。歴史学者。国際日本文化研究センター准教授。近著に『素顔の西郷隆盛』(新潮新書)、『日本史の内幕』(中公新書)など。
●春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。主な著書に『天才 勝新太郎』『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』(ともに文藝春秋)など。本誌・週刊ポストで「役者は言葉でできている」を連載中。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号