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JR東海に勤務する「乗り鉄」 1日1本の路線で驚きの出会い

「時刻表は商売道具」という石坂氏

 鉄道ファンなら一度は抱く夢が、鉄道会社に就職して、鉄道に囲まれながら仕事をすることではないか。それを実現した鉄道会社社員に迫った。JR東海に勤める石坂猛さん(35)は、北海道から九州まで鉄道に乗りまくっている“乗り鉄”だ。

 一口に乗り鉄と言っても、「完乗(すべての路線に乗る)」を目指す人、車両にこだわる人、特急ばかりに乗る人など、さまざまなタイプがあるが、石坂さんには“独特のこだわり”がある。

「私はとにかく各駅に停車する普通列車で移動したいんです。特急や快速に乗って駅を飛ばしてしまうと、その路線の本当の姿が見えなくなってしまうような気がするからです。その路線をじっくり知りたいのでプライベートでは各駅停車の列車に乗るようにしていますし、なるべく始発駅から終着駅まで“乗り通す”ようにしています。また、車窓をじっくり味わいたいので、日が落ちて暗くなったら列車には乗りません」(石坂さん。以下同)

 この「各駅停車」「乗り通す」「暗くなったら乗らない」の“3要件”に、今年のGWに7泊8日で乗り鉄旅をした際には、「○○本線に乗る」というこだわりも追加。自宅がある名古屋から亀山(三重県亀山市)に関西本線で出て、旅がスタート。

 まず、「紀勢本線」。亀山~津~新宮~和歌山市とぐるっと紀伊半島を回るルートだ。もちろん各駅停車。1日目は新宮まで。各駅停車で、しかも暗くなったら乗らないからだ。翌2日目も朝6時30分ごろからスタート。和歌山市で紀勢本線が終わる。ちょっと私鉄に浮気して、なんば、大和西大寺、そして京都へ。

 ここまで2日かけて京都にたどり着いているが、名古屋から京都へは石坂さんが勤めるJR東海の誇る新幹線で約35分である。と、そんな野暮なことを考えてはいけないのか。

 続いて「山陰本線」。京都を起点とし、園部~福知山~城崎温泉~鳥取~米子~出雲市~益田と日本海側を通って、幡生(山口県下関市)を終点とする。山陰本線の各駅停車旅は3日かけた。ちなみに京都から下関は新幹線なら…やめておこう。

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