「顧客の多くは、団塊の世代を中心に昔から養老乃瀧に通っていたシニア層。歴史が長いため、親子2代で飲みに行っている人たちもいます。ただ、養老乃瀧ブランドが飽きられないよう、注目を集める取り組みは常に行っています。
例えば、日本料理の大人気店のオーナー料理長が開発した居酒屋メニューを期間限定で提供したり、往年の人気メニューだった牛丼を復刻させたりして集客に生かしています。また、最近ではゲーム会社のバンダイナムコグループと組んで、『機動戦士ガンダム』などロボットアニメをテーマにした『映像居酒屋ロボ基地』(東京・豊島区)を開くなど、新たな客層の掘り起こしにも余念がありません」(前出・中村氏)
キャンペーンやコラボ戦略などを駆使して付加価値を高める戦略。たとえ他社の名前を借りてでも新しいイメージを打ち出して進化させなければ、老舗の看板も守れない厳しい世界であることは確かだ。
「そもそも国内の居酒屋チェーンはプレーヤーが多く、店舗数も2~3割は過剰です。
『白木屋』や『笑笑』などを展開するモンテローザ、『甘太郎』『北海道』などのコロワイド、『和民』や『ミライザカ』などのワタミといった1980年代~2000年代にかけて一大勢力を築いた“新御三家”の生き残り対決も熾烈ですしね。
そして、いまでは『鳥貴族』(鳥貴族)や、『わらやき屋』をはじめとするご当地居酒屋などで拡大するダイヤモンドダイニングほか、専門居酒屋で伸びゆく企業もたくさんあります。飲み需要の落ち込みで、ただでさえ顧客を獲得するのが難しい中、これからの時代にブランドを何十年も守っていくのは容易な事ではありません」(中村氏)
平成の“居酒屋ウォーズ”を制して、次世代まで暖簾を守れるブランドはいくつあるか。