憲法は公権力と個人との関係を規律するもので、直接私人間の契約に適用されませんが、合理的根拠を欠いた社会的に許容できない差別は、憲法の理念に反します。個人的交際や閉鎖的な団体内の差別の場合は別かもしれませんが、外国人というだけの理由で取引を拒否すると、客の法的利益を侵害する不法行為になります。
それこそ「外国人お断わり」の貼り紙をして、外国人の入場を拒否した公衆浴場に対し、不合理な差別であり、社会的にも許容できる限度を超えており、不法行為になるとして、慰謝料の支払いを命じた裁判例もあります。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年4月19日号