芸能

『いだてん』の難局 大河ドラマ史上最低視聴率を招いた理由

『いだてん』には構造改革が必要か

 注目度の高い枠だけに結果は厳しく検証される。現状は「難局」といわざるを得ないだろう。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏がNHK大河ドラマを分析した。

 * * *
「これまでの大河ドラマはどんなに評判や視聴率が悪くてもすべて観てきた。でも今回はもう我慢しない」

 長年の大河ドラマファンである知人が、いきなり口にした離脱宣言。聞いた時は驚きました。

 しばらくして、『いだてん~東京オリムピック噺~』の数字がたいへんなことになっている、というニュースが駆け巡ったのです。何でもNHK大河ドラマ史上で最低の7.1%(関東地区)を記録した、とか。その時、浮かんだのはやはりこの知人の顔でした。

 というのも、この人はかなり「保守」的です。簡単には生活習慣を変えない人。行きつけの飲食店もファッションのテイストも旅行先も、それぞれきちっとお気に入りが定まっています。

 そして大河ドラマファンを自称しアイデンティティとしてきた彼女なのに。ここにきて、突然堪忍袋の緒がプツッと切れてしまったのだとしたら…。いったい何がおこっているのでしょうか? もしかしたら視聴率が示しているのは、この人のような視聴者が続出しているということなのでしょうか?

 人が「大河ドラマを視聴する」理由とはいったい何なのか。ちょっと大げさに考えてみると……。

 歴史が好き。時代劇が好き。主役の俳優がお気に入り。戦国武将のゲームにはまっている。大河ドラマ枠そのもののファン。よく知らなかった知識を得られるお得感。民放と比べて作りが上品だから好き……いろいろと理由はありそうです。

 冒頭の知人にとって大河ドラマとは「知らない歴史を知ることができる」格好の教科書だったのです。

 名前は知っていても、実はよくわらかない歴史上の人物が本当はどんなことをしでかしたのか。どんな事件や出来事が絡んでいたのか。人間としてどんな苦悩があったのか。

 うやむやにしてきた過去のお勉強について、今更人には聞けない。けれど、大河ドラマを観れば、いきいきとした輪郭がわかる。歴史を学び直すことができる。誰かに聞かれた時にも説明できる「私」になれる──そのあたりの潜在的欲求って、意外と大きいのかもしれません。「こっそり勉強」のニーズに応えて人気となったNHKの番組は他にもあります。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られて喜ぶという『チコちゃんに叱られる!』や『ブラタモリ』といった蘊蓄知識系番組のヒット要因ともどこか共通していそうです。

関連記事

トピックス

なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン