天皇陛下の「即位の礼」など皇室行事が報道される中、改めて皇居に注目が集まっている。皇居の存在を知らない人はいないだろうが、そこには多くの知られていない謎が…。今回はその1つに迫ってみよう。
東御苑内にある「二の丸庭園」の由来は、江戸時代の寛永7年(1630)にさかのぼる。3代将軍徳川家光の命を受け、茶人として知られた大名・小堀遠州が、江戸城の二の丸に庭園を造成した。現在の庭園は、9代将軍徳川家重時代の庭絵図面をもとに復元されたもので、一般公開されており、誰でも訪問可能だ。
約6万坪の敷地には、明治神宮から株分けされた84種の花菖蒲や、ツツジ、各都道府県の木など多くの植物が植えられ、来園者を楽しませている。歴史探訪家で『最後の秘境 皇居の歩き方』の著者で、歴史探訪家の竹内正浩さんはこう語る。
「特に注目したいのが、黄金やプラチナ色をして、やけに長いヒレを揺らしながら、庭園の池のなかを優美に泳ぐ『ヒレナガニシキゴイ』です。通常の鯉の2倍の長さの尾ヒレや胸ヒレを持つという特徴があります。実は、このヒレナガニシキゴイの誕生には、魚類学者でもある現在の上皇陛下が関係しているのです」
昭和52年(1977)、皇太子だった上皇陛下は埼玉県水産試験場(当時)を視察された。その際「インドネシアにヒレの長い鯉がいるので、日本のニシキゴイと交配してはどうか」と提言されたのをきっかけに誕生したのが、ヒレナガニシキゴイなのである。
二の丸庭園には昭和天皇の思召しにより、東京近郊の武蔵野の山林の表土が持ち込まれ、雑木林が作られた。
※女性セブン2019年11月7・14日号