一方で「歪曲報道とされたのだから、MBCに厳重に抗議をしたほうがいいのではないか」とアドバイスをくれる人もいた。だが週刊ポスト編集部とも話し合い、事態を静観するという方針を決めた。

 なぜならば、崔漢永さんは今も韓国社会の中で生活を続けている。彼にはMBCの取材で“違う言葉”を言わざるを得なかった理由があったのだと思う。もし私や週刊ポストが厳重に抗議をすれば、韓国でその問題が沸騰し、彼の立場がますます無くなってしまうことが懸念された。場合によっては、身の安全すら危うくなるかもしれない。そうした事態を招くことは避けたかった。

 ただ、MBCで報道された以上、どこかのタイミングで私のほうからも説明責任を果たす必要があるとも思っていた。そこで拙稿で記事は事実に基づいたものであり、「歪曲」や「捏造」はなかったと表明させてもらうことにした。詳しい取材の経緯や、崔漢永さんのインタビュー全文は、拙著『韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題新証言者たち』(小学館新書)で詳述している。

 なぜ日韓歴史問題でウソや歪曲がまかり通るのか。MBC報道はその構造を端的に示していたように思う。

 事実関係の検証よりも、彼らが望む形の“物語”が報道においても優先される。時には“物語”を歪曲してでも、それは行われる。つまり“反日”というイデオロギーが、今もなお韓国メディアの間では蔓延しているということなのだろう。

関連記事

トピックス

ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(時事通信フォト)
《ダルビッシュ日米通算200勝》日本ハム元監督・梨田昌孝氏が語る「唐揚げの衣を食べない」「左投げで130キロ」秘話、元コーチ・佐藤義則氏は「熱心な野球談義」を証言
NEWSポストセブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
綾瀬はるかが結婚に言及
綾瀬はるか 名著『愛するということ』を読み直し、「結婚って何なんでしょうね…」と呟く 思わぬ言葉に周囲ざわつく
女性セブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン