そんな状況が続いてきたからこそ、黒人が白人警察官に虐待を受けて亡くなった映像が抗議運動を引き起こしました。
実は、今回の事件は、SNSが黒人差別の実態を「見える化」したとも言えるでしょう。アメリカでは毎年多くの黒人が警官に射殺されています。黒人を撃った白人警察官は「相手が襲ってきたから自分を守るために発砲した」と説明することが多く、「警察官の発言だから」と、警察官の言い分が通っていたことが多かったのですが、今回は第三者がスマホで撮影し、虐待の様子がネットで拡散したことで、白人警察官の行状が明らかになりました。
「黒人の命も大切だ」と多くの人が声を上げた理由がわかりますね。
今回は、抗議運動をしているのが黒人に限らないのが特徴です。集会に参加しているのは、黒人ばかりでなく白人やヒスパニック、アジア系などさまざまです。
黒人差別は、制度が変わっても続いていたのですが、ここへきて、ようやく人々の意識が変わってきたと言えるでしょう。
「ブラック・ライブズ・マター」の運動が広がると、トランプ大統領は、黒人差別の実態が続いているアメリカの体制を批判したり改革したりする気配を見せないまま、デモや集会に参加している人たちを「過激派だ」と根拠なく批判しています。
こんなトランプ大統領、再選は難しいように思えるかもしれません。しかし、ことはそう単純ではありません。
トランプ大統領の発言を聞いて、「大統領の発言だから」と信じる人が多いのもアメリカの特徴と言えるでしょう。差別反対を訴える人を批判する人たちが出て来て、アメリカの分断が一段と進んでしまいました。