しかし、菅首相とは力関係が逆転した。自民党ベテラン議員が語る。
「二階さんにとって安倍さんは自分を幹事長にしてくれた恩人。安倍内閣は最大派閥の細田派、麻生派、岸田派の主流3派にしっかり支えられていたから政権基盤が盤石で、二階さんが逆らえばすぐ吹き飛ばされてしまうくらい力の差があった。
しかし、現在の菅首相にとって二階さんは総理にしてくれた恩人。自前の派閥を持たない菅さんは党内基盤が弱く、二階派の支えがなければ政権維持が危うくなる。力関係からいっても菅さんは後見人の二階さんに逆らえない」
だから二階氏は安倍前首相を宴席に呼びつけたことはないが、菅首相には“ちょっと顔を出さないか”と言えるのである。
◆文/武冨薫(ジャーナリスト)