和歌山電鉄貴志川線貴志駅のねこの駅長「ニタマ」(時事通信フォト)

和歌山電鉄貴志川線貴志駅のねこの駅長「ニタマ」(時事通信フォト)

 たま駅長が話題になった貴志駅の改築にあたり、水戸岡さんは情緒のある藁葺き屋根をイメージして絵を描いた。しかし、藁葺きは燃えやすいという欠点があるため、駅舎を藁葺き屋根にすることは難しかった。そこで、新たな案として出てきたのが檜皮(ひわだ)葺の屋根だった。

 檜皮葺とは、文字通りヒノキの樹皮を加工して成型し屋根をつくる、古くは7世紀に使用した記録が残っている伝統的な技法だ。現在でも出雲大社や厳島神社、清水寺や善光寺本堂など、全国で見ることが出来る。耐用年数がおよそ30年ということもあって、葺き替えのため、その技法は現代にも伝えられている。

「2004年に世界遺産登録された紀伊山地の霊場と参詣道には、高野山も含まれています。高野山には多くの伝統的な寺社建築物があり、それらを修繕する職人も多くいます。難しい注文であることは承知していましたが、『新しい貴志駅の屋根を檜皮葺にしたい』と無理を承知で頼みに行きました。すると、京都御所や厳島神社を葺いた檜皮葺名人の故・古家敏男さんが『たま駅長の駅舎だったら引き受けたい』と快諾してくれたのです」(同)

 檜皮葺の技術は、このほど世界遺産登録された技術のひとつだが、国内で檜皮葺屋根の建物は約800棟余が重要文化財になっている。これらの建造物を保護するためにも檜皮葺の技術を有する職人は欠かせないが、檜から樹皮を剥ぐ檜皮採取という技術も檜皮葺とともに世界遺産認定されるほどで、その職人は少ない。

 檜皮葺のほかにも、岐阜県白川郷の合掌造りなどで知られる茅葺きと茅採取の伝統技術もこのほど世界遺産に認定された。白川郷そのものは1995年に世界遺産認定されているが、会津鉄道の湯野上温泉駅も茅葺き屋根となっている。

「湯野上温泉駅は、大内宿の最寄駅です。大内宿は江戸時代の雰囲気を残した町並みが人気で、多くの観光客が訪れています。大内宿に残っている家屋の屋根は茅葺きなので、湯野上温泉駅の駅舎も国鉄から第3セクターへと切り替わるにあたり、地元の下郷町と協力して屋根を茅葺きにしました」と話すのは、会津鉄道の担当者だ。

関連記事

トピックス

維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン