大泉は泣きまねも披露した

司会を務める大泉洋

「出演者のレコードやCDの売り上げチャートは上がり、地方でのライブのチケットもよく売れるようになるという恩恵がありました。特に地方では紅白出場歌手ということで、知名度と好感度が上がりやすい。CM契約が決まったり、演歌歌手であれば、ステージ料が数十万円から数百万円など何倍にも跳ね上がるなど、紅白出場の有無が収入に直結していました」

 しかし、そうした効果がここ数年で一気に薄れているというのだ。

「紅白を含めてテレビの影響力が低下したため、アーティストはYouTubeやインスタグラムを通したコアなファンとの交流を重視するようになりました。さらに、コロナ禍でオンライン配信ライブをするアーティストも増加。こちらの方が少ない経費で開催できるわりに、売り上げにも直結するのです。

 ある歌手は、紅白に対して、“出る意味がないんで出たくない”とまで言っていました」(前出・芸能関係者)

 紅白を取り巻く環境はこれからも変化していくなか、国民的人気番組は、視聴者からも、出演者からも求められなくなってしまうのだろうか。前出の鈴木さんは、意外にも紅白の未来は明るいと話す。

「歌番組が紅白に限らず軒並み苦しいなか、40%近い視聴率を維持しているのは、むしろ健闘しています」

 視聴メディアの変化も追い風になりそうだ。ストリーミングサービスの登場で、中島みゆき(69才)の『糸』(1998年)や宇多田ヒカル(38才)の『First Love』(1999年)が、リアルタイムで聴いてこなかった10代の若者の間で聴かれるようになるなどの社会現象も起こっている。

「YouTubeやストリーミングサービスで新しい曲に出合う若者は、いつ発売したものであるかに関係なく、いい歌を評価する傾向がある。ありとあらゆる年代の歌を聴くことができる紅白は、若者にとっても魅力的なコンテンツではあるのです」(前出・鈴木さん)

 世代を超えて音楽を楽しめる素地は整っているのだ。

「確かに、アーティストの紅白に対するスタンスは二極化しています。しかし、紅白が孫と祖父母の共通の話題になるなど、果たしている役割はいまでもある。これからも大晦日の風物詩として生き残っていくのではないでしょうか」(テレビ局関係者)

 19日に発表された出場歌手は紅組22組に対し、白組が21組。担当プロデューサーは、白組が1組少ないことについて「最終的にはきちんと整った形になるべく、設計をしていくことになる」と、“隠し玉”の存在を示唆した。

 年末まであと1か月。いったいどんな人がサプライズで「カムカム」するのだろうか。

※女性セブン2021年12月9日号

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