一方で、真逆のタイプの人もいますよね。別の知人は、「頑張ってと励ましてほしい」と言っていました。その人はすごく健気に闘っていて、「大丈夫」「今日は抗がん剤2日目!」とか、Instagramにアップするんですよ。私は最初「無理しないでほしい」と感じていたのですが、よくよく話を聞いてみると、その人にとっては「頑張って」という言葉をかけられたり、日々を投稿したりすることが心の支えになっているんですよね。「頑張って」という言葉は軽率に使ってはいけないと思い込んでいたので、目から鱗というか、想像力が足りなかったと感じました。

『ママがもうこの世界にいなくても』は、和さんという1人の女性のケースだけれど「自分だったらどうするか」というスタンスを考えるうえで大きなヒントになると思います。がんの患者さんがリアルタイムで感じたことを、ここまで克明に、そして思ったままに本心で記している文章はめったにないのではないかと思いました。

◆新井見枝香(あらい・みえか)
1980年東京都生まれ。書店員、エッセイスト、ストリッパー。書店員として文芸書の魅力を伝えるイベントや仕掛けを積極的に行い、中でも芥川・直木賞と同日に発表される一人選考の文学賞「新井賞」は読書家の注目の的となっている。20年からはストリップの踊り子として各地の舞台に立ち、三足のわらじを履く日々を送っている。著書に『本屋の新井』(講談社)、『この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ』(秀和システム)など。

外出も

娘と桜並木を散歩(2021年4月)

和さん

お誕生日プレゼントのピアノを弾く娘

ステージIVで出産するに至るまで

結婚当時の遠藤和さんと将一さん(2019年12月)

「娘は喃語を話すようになったくらいです。早く会話がしたいな」(和さん)(写真/本人提供)

間もなく1才の頃。喃語を話すようになったという

手術前、最後に娘と抱き合う和さん(写真/本人提供)

手術前、娘と抱き合う和さん

家族で同じ色の服

家族で同じ色の服

「離乳食は好き嫌いなく食べてくれます」(和さん)(写真/本人提供)

離乳食を与える和さん

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