宮崎あおい、蒼井優に憧れた(時事通信フォト)

難役を好演した門脇麦(時事通信フォト)

 あるいは9~10話で視聴者を魅了したライカ(千夜子)役の門脇麦さん。解離性同一性障害で人格が豹変するという難しい役でしたが、ライカと千夜子の演じ分けに視聴者は震撼としました。

「~だ」「なのか」という中性的な口調でライカの特異性を浮き上がらせていく演技は、門脇さんにしかできない存在感。整にむかって「痛みを代わってあげられたらよかったな」と語るセリフは短い中に悲しみが溢れていた。難解な役に門脇さんをキャスティングして大正解。個性派女優の名に恥じない圧巻の演技を見せてくれました。

 そして最終回は、いよいよ犬堂我路役・永山瑛太さんの演技に大注目です。 

 役者たちの潜在的な魅力を引き出すことに成功した『ミステリと言う勿れ』。それに対して、たとえ演技の上手い人気役者を主役にしても、条件が揃わなければドラマ人気に火が付かないということを、冬期のドラマは示してくれたのではないでしょうか。

 NetflixやAmazonの力もありネット配信が浸透し、配信再生ビジネスのうまみも見えてきた今。各局はドラマを強化していく傾向を鮮明にしています。フジテレビは新たにドラマ枠を作り、テレビ東京もTBSも深夜ドラマを増やしNHKにいたっては朝ドラならぬ夜ドラマを毎日15分、月~木に放送するという。

 しかし、ただ数を増やせば良いというわけではない。粗製濫造ではなく何度も見たくなる深みのある作品や役者の魅力がにじみ出すような秀作をいかに丁寧に創り上げ世に送り出せるか。それが結果的に配信再生回数を生み出すことにつながっていくはず。制作サイドの力量と熱量が問われているように思います。

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