――男はつらいよ。
「そう。男女共同参画社会の担当大臣として、こんど女版『骨太の政策』を打ち出すんですけど、その柱に『男性の活躍』を入れました」
――「女性活躍」ではなくて、男性の活躍?
「今、非正規雇用やいろんな理由で結婚できない男性が増えている。『結婚したい!』って思っている男性がみんな夫になって、かつパパになって活躍できるような社会は、女性だけが楽になればいいっていうこと実現じゃできない。世の中の半分は男性なんだから、男性もハッピーにしなきゃ、女性もハッピーにならないという発想です」
──総裁選の敗北を経験して半年ほどが過ぎました。教訓はありますか。
「派閥という体をとるのかわからないけど、やっぱり揺るがない仲間を最低20人、常に維持しておく。そこからなんだろうな。私が大派閥に頭を下げたり、スカウトされることを勧める人もいるけど、それはちょっとまだ無理かな。そうしなくてもいい時代が来るんじゃないですか」
──では、次の総裁選には出馬しますか?
「今は岸田さんに頑張ってもらいたい。岸田政権になってから、『政治はマッチョであるべし』という空気が変わって、ジェンダー的にも優しい風が吹いているの。だって、これまで強い総理が続いたでしょう。岸田さんは麻生さん、安倍さん、菅さんとは真逆の中性的な人なので」
──ただ、歴史的には、ジェンダー平等が進むと保守派の激しい巻き返しが常に起こります。
「後戻りできないのに何でそうなっちゃうんだろう。岸田さんの時代で政治は荒々しく強くあらねばならないっていう空気を消してもらいたい。私が全力で支えますから」
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
野田聖子(のだ・せいこ)/1960年、福岡県生まれ。上智大学外国語学部比較文化学科卒業後、帝国ホテルに入社。1987年、岐阜県議会議員(当時最年少)に。1993年、衆議院議員に初当選。その後、郵政大臣、総務大臣、女性活躍担当大臣、マイナンバー制度担当大臣、幹事長代行などを歴任。現在は、男女共同参画担当大臣。衆院岐阜1区選出、当選10回。
【インタビュアー・構成】
常井健一(とこい・けんいち)/1979年茨城県生まれ。朝日新聞出版などを経て、フリーに。数々の独占告白を手掛け、粘り強い政界取材に定評がある。『地方選』(角川書店)、『無敗の男』(文藝春秋)など著書多数。政治家の妻や女性議員たちの“生きづらさ”に迫った最新刊『おもちゃ 河井案里との対話』(同前)が好評発売中。
※週刊ポスト2022年4月8・15日号