原監督は2002年からの1次政権では鹿取義隆コーチ(2002~2003年)、2006年からの2次政権では伊原春樹コーチ(2007~2010年)という年上のヘッドコーチを抱え、日本一に輝いた。しかし、伊原コーチ退任後の2011年以降、1軍のスタッフは全員年下になった。
「それでも、2012年から3連覇しましたから表面的には関係ないように見えるでしょう。ただ、当時の川口和久投手コーチは1歳しか離れていなかったですし、川相昌弘ヘッドコーチは年下でもモノを言えるタイプでした。
今は一番年の近い桑田真澄投手チーフコーチでさえ10歳離れていますし、阿部慎之助、村田修一、山口鉄也、亀井善行など原監督のもとでプレーしていた選手がコーチの半数以上を占める。昨年限りで原監督の腹心だった吉村禎章コーチも去ってしまった。縦社会の野球界で、年上に物申せる人は少ないでしょうし、原監督には実績がある分、采配や言動に疑問があっても、それを伝えるのに躊躇してしまうでしょう」
原監督は昨年までの15年で優勝9回、日本一3回、Aクラス14回という実績を残してきた。巨人の中では、9年連続日本一のV9を達成した川上哲治監督を超える勝ち星を挙げている。押しも押されもせぬ名将であることに違いはない。
「ファンの中には、『FA(フリーエージェント制度)などで有力な選手を獲得したから優勝できた』という人もいます。でも、それだけで勝てるなら、1990年代の長嶋茂雄監督も何回も優勝したはずです。だから、原監督の実績は否定されるものではありません」
原監督は昨年オフに新たに3年契約を結んでおり、今季の成績にかかわらず来季も指揮を執ることが既定路線だ。だが、最下位となればさすがに続投は考えにくい。ここからの巻き返しで、来季につなげることができるか、あるいは──。