いい企画は“演出の手から離れる”
『有吉の壁』では2年連続で「Break Artist Live」を開催したり、「KOUGU維新」によるミュージカルライブ(「最初で最後のミュージカル KOUGU維新±0 ~聖夜ヲ廻ル大工陣~」)や、「カベデミー賞」を映画化したりと、積極的に仕掛けている。
「これは僕が仕掛け人みたいに言われるけど、実際はさっき話した横澤というプロデューサーだったり、本田(拓也)っていう演出が色々自発的に動いてやってくれるんです。『KOUGU維新』は横澤が好きで、クリスマスライブやりますって言うから、本当にニーズがあるのかなって思ったんだけど、意外と配信が売れてプライベートで(佐藤)栞里ちゃんが観に来てて(笑)。やっぱり今は、強い総合演出が『俺の個性、面白くないですか?』って作る時代じゃないと思うんです。いかにカセをかけずに、自分はこれをやってみたいって言える空気を作るかが大事だと思います。だからLiveの演出は本田がやってますし、YouTubeのチャンネルも2~3年目の若いスタッフに任せてます。
『壁』がいろんなことを仕掛けているのは、仕掛けていいってみんなが思っているから、結果そうなっているということだと思います。『有吉ゼミ』の「工藤農園」もそうですけど、やっぱりいい企画って演出の手を離れるときなんですよ。一人の人間の想像力なんてたかが知れているし、総合演出っていちばん保守的になりがちなんですよ。なぜなら数字とか結果が怖いから。当てたものは毎回やりたいし、実験的なものは大丈夫か?って思ってしまう。だから、どれだけその保守的な考えをガラガラ崩してくれる人が周りにいるかっていうのがチーム作りとして大事だと思いますね」
そうした「やりたいことをやらせる」という橋本のスタンスは、もちろん芸人に対しても貫かれている。
「ネタにかんしては芸人さんにお任せしています。昔はテレビマンがこういうことをやるべきだってやらせていたかもしれないけど、僕は芸人さんがやりたいことが第一で、それをどうテレビ的に面白くみせるかをサポートするというのが、今の時代の作り方だと思うんです。たぶん今はテレビが押し付けてやらせるものって嫌われる。何かをやらされてる匂いって、敏感に察知すると思うんですよ。ああ、この人、抑えきれずやっちゃったんだなっていう物語がみんな見たいわけで。だから『壁』って続いてると思うんです」