一方、敗血症のリスクの高い人として、65歳以上の高齢者、糖尿病や肝臓病の人、ガンの治療中の人や多量にお酒を飲む人などがあげられます。また、手術後の人、免疫抑制治療をされている人や人工物が体内に埋め込まれている人もハイリスクです。こうして見ますと敗血症は聞き慣れない病気ですが、高齢化が進み、さらにコロナで医療が逼迫し受診や入院制限が起こっているこの日本社会では実は身近で怖い感染症なのです。

 社会風刺コント集団として舞台を中心に表現活動をされていたザ・ニュースペーパーのリーダーの渡部又兵衛さん(享年72)も今年の夏に敗血症で亡くなりました。銀座博品館劇場の公演は圧巻で、私も観に行きました。渡部さんは糖尿病の合併症に苦しんでおられたそうです。そして『太陽にほえろ!』でかっこいい刑事役を演じた渡辺徹さん。お二人のご冥福を心からお祈りいたします。

【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。

※週刊ポスト2023年1月1・6日号

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