育児アプリで勉強、子を膝にのせてリモート会議。56歳の育児のリアル
生後3か月で子どもは退院し、56歳と45歳の育児が始まった。自治体などによる「育児教室」はコロナで軒並み中止になっていたため、育児アプリやYouTubeを活用して猛勉強。1LDKの限りあるスペースでの子育ては、熟慮の上にベビーグッズのレンタルと購入を使い分け、リモート会議は子どもを膝にのせて行った。
「育児休暇を取ろうかとも考えたのですが、これからのシニア子育てを考えると、少しでも給料をためておかなければ大変なので、リモートを活用して、なんとかやっています。家事はできるだけ分担しているとはいえ、やっぱり、妻に負担がかかっているとは思いますね」
家族が増え、中本家は生活設計の見直しに迫られた。学資保険に入りたいが、現状は20代、30代の夫婦を想定した保険がほとんどだという現実にもぶちあたる。また、妻が働くための保育園問題……。中本夫婦は子育てのために、好きだった街から足立区へと引っ越しをする。子どもを育てるという観点で、社会を見つめるようになった。
「思いがけず子どもができてから、妻はよく私に『変化を楽しもう』と言っていました。その影響もあって、私たちはいい意味で、変化を楽しんでいます。といっても妻は、元来、変化が苦手で、自分を鼓舞するためにそう言っていたようなのですが」