個人の研究所を構え、著書も次々とベストセラーに。雑誌で特集が組まれ、『天国からの手紙』(フジテレビ系。2004~2007年に不定期で放送)や『オーラの泉』(テレビ朝日系。2005~2009年)といったテレビ番組も始まって、活動は現在に続く。
テレビに出たことで知名度は爆発的に広がり人気も高まったが、スキャンダラスな記事を書かれるなどマイナス面も少なくなかった。
「『死後の人権を守る』って私は言うんですけど、あれはひとつの運動だったと思います。
テレビに出始めたとき、心霊というと、ローソク燃やしておどろおどろしい垂れ文字が出てきました。番組の視聴率がだんだん上がるようになると、『ローソクやめてください』『垂れ文字やめてください』って私は言いました。要するに、死後の世界って決しておどろおどろしいものじゃない。そうやって一つひとつ変えていって、『天国からの手紙』では、みんな怖がったりせずに、感動して泣いたんです」
私はスピリチュアル界の桂小金治だから、と笑う。念のため説明すると、桂小金治は落語家で、一世を風靡したテレビ司会者。『それは秘密です‼』(日本テレビ系)の離れ離れになった家族の再会シーンでもらい泣きし、「泣きの小金治」と呼ばれた人だ。
テレビ番組の影響で、亡くなった家族の声を聞きたい、という人はいまも多いが、個人カウンセリングをしていたのは前半の15年で、その後は公開カウンセリングに切り替えた。
「『私はイタコじゃない』って言うんです(笑い)。忙しいから個人カウンセリングをやめたと思われるんですけど、違うんです。1時間ですべて説明するのって大変ですし、当て屋みたいになっちゃう。公開で、ほかの人もいるところで相談を返して悩みを共有するようにすると、他人のことだとよくわかるし、その方がいいんですよ」
個人カウンセリングをやっていたときは、新聞やテレビで報道されるような痛ましい事件の当事者家族が訪ねてくることもあったそうだ。
「カウンセリングって劇薬みたいなもの。よく効くけど、中毒になる可能性もあります。亡くなったお姉ちゃんのおもちゃを『弟に使わせてやってって言ってますよ』と私が言うと、ご両親が泣くんですよね。声が聞きたいからとしょっちゅう来るかたもいて、いつまでも続くようだと、私の方から『いい加減、やめませんか? お母さんの心が苦しくなりますよ』と言うようにしていました」
(後編につづく)
【プロフィール】
江原啓之(えはら・ひろゆき)/1964年生まれ。スピリチュアリスト。一般財団法人日本スピリチュアリズム協会代表理事。1989年にスピリチュアリズム研究所を設立。また、オペラ歌手としても活躍しており、二期会会員。主な著書に『人間の絆 ソウルメイトをさがして』『自分の家をパワースポットに変える最強のルール46』『あなたが輝くオーラ旅 33の法則』『あの世の歩き方 この世じまいの“地図”を手にすればもう迷わない!』(いずれも小学館)など。最新著書は『パワースポットの条件』(マガジンハウス)。
※女性セブン2023年5月11・18日号