そんな因縁がある両者が再び手を組めるのだろうか。前出の角谷氏が語る。
「小池氏は70歳だが、政治家としてもうひと仕事できる年齢であり、今も国政への野心は消えていない。保守中道を掲げる国政政党・ファーストの会を立ちあげて参院選に元秘書の荒木千陽・元都議を代表に立て、国民民主党と連携したのもその表われです。しかも、今の国会の状況を見ると、野党は連携して与党自民党に対峙することができず、むしろ野党同士で喧嘩しているような体たらく。小池氏にすれば、『私がいればもっとひとまとまりに動かせるのに』という思いが強いのではないでしょうか。
希望の党で勝負をかけた時は“排除の論理”で左派の議員を排除してつまずいたが、保守政党の維新とタッグを組んで自民党と対峙するのであれば理屈が立つ。勢いのある維新から誘いがあれば、“小池劇場で勢いをもっと大きくする”と大勝負に出る可能性は十分あるでしょう」
そうなれば、維新と小池氏がまさに「令和の薩長同盟」を結んで共通の敵である岸田倒閣に動くことになる。
その余波は自民党内にも波及しそうだ。岸田政権は岸田派、麻生派、茂木派の主流3派に支えられているが、党内で「反岸田」を鮮明にしているのが菅義偉・前首相と二階俊博・元幹事長だ。
維新はその菅氏と太いパイプを持つことで知られ、一方の小池氏は二階氏と結びつきが深い。4月の衆院和歌山補選ではわざわざ和歌山入りし、二階氏と並んで自民党候補の応援に立ったほどだ。自民党中堅議員はこう警戒する。
「勢いのある維新と小池が組んで総選挙に挑めば、かつての希望の党とは比べものにならないインパクトを持ち、台風の目になる。自民党の非主流派を巻き込んで保守再編につながっていく可能性さえある」
※週刊ポスト2023年6月2日号