今年のお盆期間で最も家族・親族が集まりやすいのは土曜日である12日の夜。前述した3つの特番は、「家族・親族が集まったとき、会話のきっかけになるようなもの」としてラインナップされたのでしょう。まったく異なる3つのバトルがそろったことで、たとえば、親子と祖父母などの3世代が集まったら「昭和VS Z世代」のトークバトル、ラーメンや韓国が好きな家族・親族がいたら「日本VS韓国」のグルメバトル、年齢や好みがバラバラな集まりだったらシンプルな「芸能人VS学生」のゲームバトルを選ぶことができます。
さらにお盆は日本全国に共通した風習であり、各地を人が行き来する期間のため、系列局のどこにいても、どこの人といても楽しめるような企画が必要。その点、前述した三者三様のバトルは問題ないのでしょう。
バラエティとドラマを筆頭に「季節性を感じさせるテレビ番組が減った」と言われ、お盆と年末年始も例外ではなくなりました。つまり、お盆や年末年始をそのままフィーチャーした番組では見てもらえなくなったから放送しなくなったのですが、今年はその代わりに三者三様のバトルが放送されるのではないでしょうか。
実際はバトルより理解を深め合う
その“バトル”という構成は、何より「誰でもひと目でわかる」という単純明快さが強み。食べながら、話しながら、スマホやタブレットをさわりながら、家事などをしながら、テレビを見るのが普通になった今“バトル”は、同じように「誰でもひと目でわかる」“ランキング”と並ぶ基本的な構成となっています。
本来、視聴者がバトルを楽しむポイントは、主に「対照的な2組が対決する面白さ」「どちらが勝つか負けるかの攻防」「結果の明暗」の3つ。しかし、近年のバトルはつぶし合うようなものではなく、対決図式ながらも、笑顔でトークを交わしたり、互いの魅力を称え合ったり、勝敗を超えて親交を深めるような演出が目立ちます。その「対照的な2組が尊重し合い、理解を深め合う」というコンセプトこそが、家族・親族が集まるお盆にふさわしいのかもしれません。