投票率(小選挙区)が約69%と高かった2009年の政権交代選挙で、自民党は約26%とその後の自民党以上の絶対得票率だったにもかかわらず、約21%の議席しか得られなかった。今年10月22日の衆参両院補選と同時に行なわれた埼玉県所沢市市長選は前回より7ポイント近く投票率が上昇、自公が推した現職が新人に敗北した。
一見、無敵に見える自公も投票率と風向きによってはもろさがあらわになる。自公の命運は、過去の投票率からみて10%程度は存在するとみられる「かつて投票した棄権者」にかかっている。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
柿崎明二(かきざき・めいじ)/1961年、秋田県生まれ。早稲田大第一文学部卒。共同通信社政治部記者、編集委員、論説委員などを歴任。2020年10月から2021年10月まで菅義偉内閣の首相補佐官を務めた。2022年4月より帝京大学法学部教授。著書に『検証 安倍イズム─胎動する新国家主義』(岩波新書)などがある。
※週刊ポスト2023年11月10日号