二軍が快進撃
そうした懸念があるなかで、桑田氏が率いる二軍が“快進撃”を見せているのも皮肉な話だろう。反スパルタ宣言をした桑田氏はフェニックス・リーグの10試合で采配を振るい、6連勝を含む8勝2敗という成績を収め、“桑田巨人”は好発進を切ったのだ。前出の巨人番記者がこう語る。
「フェニックス・リーグでの桑田さんは、試合前練習から内外野に足を運び、試合中はベンチで積極的にコーチや選手とコミュニケーションしている姿が印象的でした。周囲を威圧するような印象は全くない。
一方で、とくに“監督”としての強い意思を感じたのは、原前監督が打順をコロコロ変えて使っていた秋広優人(21)を4番に固定したこと。将来の中軸として育成しようとしている強い意思の表われでしょう。
これまで定番だった試合後のミーティングや居残り練習を廃止し、試合で出し切るよう指示したことや、宿舎に戻ってから桑田さんが講師としてビデオ映像を見ながら指導するといった新しいスタイルを実践したことも含めて、若手からの信頼は高まったと思います」
試合では守備重視を掲げ、犠打など細かい作戦で勝利を重ねる。積極走塁を命じてランエンドヒットのサインを出すなど機動力を生かして得点に結びつけた。スポーツ紙のデスクが語る。
「コーチ陣の意見を取り入れ、試合で実践していく。桑田氏の采配は、阿部監督に指揮官としてのお手本を示しているかのようでした。“阿部監督の座を脅かすのでは”という声もあるほどです」