『泥濘の食卓』吉沢悠の“疲れた中年おじさん”
『単身花日』の放送が終わると、毎週土曜23時30分からスタートするのが『泥濘の食卓』。土曜深夜、30分ずつのサスペンス不倫ドラマを2本続けて放送するとは、テレビ朝日はどんな目論見で編成を組んだのだろうか。内容は日向坂46の現役メンバーの齊藤京子演じる、捻木深愛が勤務先のスーパーの店長と不倫関係に。ただ「家庭の事情」と一方的に別れを切り出され、気持ちに整理がつかない深愛は店長宅に通いつめ、やがて狂気に堕ちていく──。
ラブホテルでのシーンもあったけれど、もう少し演技で齊藤に踏み込んでほしかったとういうのが、正直な感想だ。ただ、彼女がドラマ内で「店長」と連呼する感じは艶かしくていい。そして「店長」と呼ばれる、吉沢悠の疲れた中年おじさんの演技が作品の要かもしれない。
ここ数年、吉沢は立て続けに浮気夫を演じているけれど、すべてサマになっている。かつてはアイドルのような人気ぶりだった彼が40半ばを越え、アイドルの不倫相手役となって白髪頭で登場しているのは時の流れというものか。
『18歳、新妻、不倫します。』藤井流星の流麗なキスシーン
さらに夜がふけて土曜深夜2時30分(関西では日曜23時55分〜)から放送されるのが、『18歳、新妻、不倫します。』だ。主演は『単身花日』の重岡と同じWEST.のメンバー、藤井流星。資産家の一人娘・明花(矢吹奈子)に頼まれて、偽装結婚をする藤宮煌(藤井流星)。「私は不倫します」と宣言する若妻に恋愛感情を持った煌が見守る。
この作品だけが唯一、ラブコメディであり、禁断の恋を感じさせるシーンはほぼない。ただ藤井の長身と手足の長さを活かした、キスシーンは美しい。少女漫画を読むようなドラマだ。
藤井は『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』(フジテレビ系・2018年)で、恋人の母親を好きになってしまうという、ちょっとした衝撃展開の青年を演じた。相手役を演じたのはあの中山美穂ということで、当時話題になった。しかも演技がハマっていた記憶があるので、次回の不倫ドラマはぜひ迫真性のある役柄でお願いしたい。