プライム帯での放送に期待したい

 こうしてテレビ朝日系3作品(『18歳〜』はABCテレビ製作)を並べて思ったのは、深夜ではなくプライム帯に放送してはどうか、ということ。

 思い起こせば、各局は時代の風潮に合わせながら、不倫の恋を描くドラマを放送している。近年でいえば、『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(2014年)、『あなたがしてくれなくても』(ともにフジテレビ系・2023年)だろう。この2作を見た時、不倫の恋が街角に転がっているような親近感を覚えた。2作とも午後10時に放送されていた。

 多くの人が見る可能性のあるプライム帯だからこそ、見る側の没入感が期待できるし(深夜は見ていてどうしても眠くなる)、演じる側にも深夜の放送とは違う緊張感があるはずだ。

 もちろん不貞行為を肯定するわけではない。自著のエッセイでは「身勝手な行為としか思えない」と、不倫を全面的に否定しているし、これからも意見は同じだ。何かメリットがあるのなら、当事者に教えて欲しいくらいだ。でもドラマで俳優たちが架空の物語を通して、すったもんだを繰り広げているのは、大好物。私だけではなく、多くの視聴者も興味津々のはず。それが不倫ドラマの醍醐味なのだ。

 そして今回、“アイドル俳優の不倫ドラマ”というテーマを投げてくれた、テレビ朝日。私の記憶の限りでは、近年、プライム帯で放送がない。

 倉科カナ主演『奪い愛、冬』(2017年)、仲里依紗主演『ホリデイラブ』(2018年)の、不倫ドラマ2作はいずれも深夜帯の放送だった。深夜だからこそできる、子どもには見せにくいシーンもあったけれど、これがプライム帯ならどんなふうに脚本や演出が変容しただろうか?

 現在放送中の3作も、もう一歩、出演者たちの演技にアクセルがかかったような気がしてならない。ドラマの展開に期待するとともに、編成の課題としてもらえたら、ドラマオタク冥利に尽きる。

【プロフィール】
小林久乃(こばやし・ひさの)/エッセイ、コラムの執筆、編集、ライター、プロモーション業など。著書に『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)、『45センチの距離感 つながる機能が増えた世の中の人間関係について』(WAVE出版)、『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社)がある。静岡県浜松市出身。X(旧Twitter)@hisano_k

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