共同通信社

吉田茂元首相(共同通信社)

 では、正解の発表です。まずは「政治家編」から。

【正解】1‐ウ、2‐ア、3‐エ、4‐イ

 1の「中小企業の5人や10人の破産、自殺はやむを得ない。子孫を残そうとする利他の要素です」は、のちに総理大臣になる池田勇人が通産大臣だった昭和25年に、記者会見で発言した言葉。政治家としての本音なのかもしれませんが、正直にもほどがあります。

 2の「無礼なこと言うな。バカヤロー!」は、昭和28年に吉田茂首相が国会での野党議員とのやり取りの中で、ついヒートアップして発した言葉。国会は騒然となって、やがて衆議院解散(バカヤロー解散)につながりました。

 3の「熊本県では、申請すれば水俣病患者になってカネがもらえるから、そのうちに県民全部が水俣病患者になる。私も熊本県に住んで水俣病患者になりたい」は、昭和54年に「環境問題」をテーマに行なわれた「第2回経団連フォーラム」で、環境庁政務次官を務めていた森下泰が冒頭の挨拶で述べた言葉。当たり前ですが、大きな批判を浴びます。

 4の「ヒロポンは戦前は薬局で売っており、ぼくらの学生時代には試験の前などによく飲んでいた。気持ちがいいし、能率が上がる」は、昭和57年に自治大臣だった世耕政隆が、「なくせ暴力団、覚醒剤、交通事故」というテーマの対談番組で発言。その頃は合法だったとはいえ、立場や状況をあまりにもわきまえていなさすぎと言えるでしょう。ちなみに、現在の自民党幹事長・世耕弘成議員の伯父さんです。

 続いて、「芸能界編」の正解を発表します。

【正解】1‐エ、2‐ウ、3‐ア、4‐イ

 1の「女優を2号(妾)にしたのではなく、2号を女優にしたのだ」は、昭和35年に映画会社である新東宝のワンマン社長だった大蔵貢が、所属女優との関係を問われて発した言葉。たぶんそういうことなんでしょうけど、開き直るにもほどがある発言です。

 2の「私作る人、僕食べる人」は、昭和50年に放送されたインスタントラーメンのテレビCMにおけるやり取り。婦人団体から「性的役割分担の固定化につながる」と抗議を受けて、CMは2カ月で放送中止になりました。日本においてジェンダー的な観点から問題視された記念すべき第一号の事例です。今なら多くの人が敏感なコンプラセンサーで危険性を察知するでしょうが、当時は「気にするにもほどがある」という声が大半でした。

 3の「おばさん、歌うまいね」は、昭和55年に当時15歳だった近藤真彦が、とあるテレビ番組のリハーサルの際に、日本を代表する大物歌手である美空ひばりに向かって言った言葉。大胆にもほどがあるというか何というか……。ただ、この“事件”をきっかけに、美空ひばりは近藤真彦をかわいがるようになったそうです。

 4の「オ×××」は、昭和59年にアイドルとしてデビューして2年目だった松本明子が、『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』と『オールナイトフジ』がコラボした生放送の番組の中で、念入りに3回連続で発した放送禁止用語。共演していた片岡鶴太郎や笑福亭鶴光が、冗談で「言えば売れるかもよ」とそそのかしたとのこと。以来、2年ほど芸能界から干されてしまいますが、結果的には先輩たちのアドバイス(?)どおりになりました。

 とまあ、昭和の底力を感じさせてくれるパワフルな不適切発言の数々をご紹介いたしました。勇気を授かったり失言の怖さを思い知ったりしたことと存じます。いつの時代も、人は不適切と無縁では生きられません。不適切と適度な距離で上手に付き合いながら、時には不適切なことを言ったり不適切を楽しんだりしましょう。

関連記事

トピックス

水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月13日、公職選挙法違反の疑いで家宅捜索を受けた黒川邦彦代表(45)と根本良輔幹事長(29)
《つばさの党にガサ入れ》「捕まらないでしょ」黒川敦彦代表らが CIA音頭に続き5股不倫ヤジ…活動家の「逮捕への覚悟」
NEWSポストセブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
女性セブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン