しかし、庄司さんも最初からこのようなスタンスだったわけではなく、結婚当初は「打ち合わせでも本番でも、奥さんのことしか聞かれない」ことを経験し、「自分だって舞台もやってます、漫才で稼いでいます」と言いたい気持ちでいっぱいだったと言います。しかし、「わかってくれる人はわかってくれる、ミキティだけがわかってくれればいい」と思うにいたり、テレビはエンタメと割り切って求められる役割に徹することにしたのだそう。
お金と言えば、庄司さんは今住んでいる家のローンの割合が9対1であることも明かしていました。もちろん、9がミキティ。上述したとおり、テレビでするお金の話ですから盛っている可能性もありますが、なぜ庄司さんがこの話をしたのかというと、ミキティのイメージが上がるからだと思うのです。仕事をして、3人のお子さんを育て、家のローンのほとんどを払う。世の女性たちは働き者なミキティをエラいと尊敬し、その経済力をうらやましいと思うでしょう。けれど、もしミキティ本人が「ローンの9割を私が払っているんだよね」と自分から言い出したのなら、あーら不思議。経済力を笠に着たモラハラ妻っぽい印象になってしまわないでしょうか。庄司さんはどうしたらミキティがよく見えるかを熟知していて、さりげなくアシストしているように見えてきます。
テレビでの共演は少ない2人ですが、庄司さんはミキティのイメージを下げないように、下ネタは言わない、楽屋でも性的な話をしない、ミキティを下げるエピソードは披露しないなど、ミキティの活動を邪魔しないための気配りを欠かしません。ミキティの活躍ばかりが目立ちますが、彼女のタレント性や時代との相性もさることながら、庄司さんのサポート力とそれをひけらかさない控えめさには、驚嘆するばかりです。
庄司さんのさらにエラい点は、気配りしているところをおくびにも出さないところ。『しくじり先生』では、先生役として出演したために上述したノウハウを披露しましたが、庄司さんが他の番組で「ミキティのためにやっている」とアピールしているところを、私は見たことがありません。ジェンダーフリー教育を受けている若い人には当たり前のことかもしれませんが、昭和51年生まれでこれができる人は本当に珍しいと思います。
ミキティの活躍の裏には、夫・庄司さんの存在があるのは間違いないでしょう。
◇仁科友里/フリーライター。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ』(主婦と生活社)。