国際情報

80年代の中国若者は「南京大虐殺」を知らず日本大好きと識者

日本への憎しみだけを教育されて育った世代。それがいま、中国で「反日」を叫ぶ若者たちだ。1990年代初頭、江沢民政権が始めた「反日教育」は思惑どおり、国民の隅々までに行き渡った。だが、それ以前はそんなことはなかったと、評論家の石平氏が体験的に語る。

****************************** 
中国の反日教育が江沢民政権の時代から始まったのは明らかである。それ以前ももちろん、共産党の歴史教育の一環として「抗日戦争」について学ばなければならなかった。しかし、それは、中国共産党の業績を称えることに重点を置いていたため、決して日本に対する憎しみを植えつけるようなものではなかった。

たとえば、1962年生まれの私は、大学生になるまで「南京大虐殺」という言葉を聞いたことがなかったし、教えられた記憶もない。1980年代の中国は日本と良い関係を持つという方向に政府によって誘導されており、社会の雰囲気も日本に学ぼうという時代だった。若者たちの間でも反日感情などはほとんどなかった。大学生が日本に関する展示会を行なうと、大勢の人が訪れ、反響も良かった。

ドラマ『おしん』が大流行した時代で、放映の時間帯には街から人が消えると言われた。山口百恵さんは彼女の名前を知らない人がいないほど中国で大いに歓迎され、日本同様、中国でも国民的アイドルだった。日本に対して親近感を持ち、反日感情もなかったのが80年代だったのである。

もちろん、「抗日戦争」をテーマにしたドラマも放映されていた。しかし、前述のように、中国共産党の業績を称えることが最重要課題だったため、悪役となる日本軍(人)は、どこかユーモラスで滑稽な役回りだった。

私の記憶にあるだけでも、日本軍人といえば、必ず鼻の下にちょび髭をたくわえ、口を開けば「ばかやろう」しか言わない。そういうアホみたいな存在でわれわれ中国人を笑わせてくれた。

※SAPIO2010年11月24日号

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン