国内

被災者「被災地に押し寄せた人が現地の食糧・燃料を消費中」

 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の「安否情報サイト」について調べている途中、知人のツイート「宮城県の避難者のリストhttp://t.co/kLd8UxB」のリンクをクリックした。

 避難所の名簿画像を集めた「Picasa Web Albums」のページも見ていたが、個人のブログで同様の画像を掲載し、その画像から起こした膨大なテキストを見たとき、入力作業の労力を想像して圧倒された。画像だけでは探す名前を検索できない……その当たり前のことを可能にするため、ひたすらテキスト入力するというのは簡単なようだが、掲載量を見ると驚く。

 このサイトの情報は既に拡散され、名簿写真を撮影して送る人や、入力を手伝う人もあり、多くのテキスト化が進んだようだ。

 そうした有志の協力により、氏名が確定した情報は「Googleパーソンファインダー」に統合されているのだが、手書きの文字、更には写真画像からの入力ということで、所々「?」という文字が見られる――こうした氏名が確定していない情報は、データベースである「Googleパーソンファインダー」には登録できないのだ。

 この「安否情報サイト」としての情報も、デジタルだけでは補えない「人だからできる」情報発信の一つだ。

 だがここに紹介したいのは、「安否情報サイト」としてだけの情報ではない。

「管理人からのお願い 」としてリンクされている、3月15日朝のエントリー「ありがとうございます_(。_。)_」を見て、記者はこのブログを書いている「いちごさん」に掲載許可を依頼するメッセージを送った。

 返信には掲載を快諾するという文面と共に、「どうか1人でも多くの人に、安否が伝わりますよう、祈っております」というメッセージを寄せてくれた。

* * *
管理人よりお願いがあります。

現地に私も行きたい、現地にいって安否を確かめたい、現地にいって名簿集めを手伝いたい。
そういった声も多く聞きます。

気持ちはすごくわかります。
私は看護師です。子どもがいて、医療ボランティアに行きたいけど行くことが出来ません。
何かできることはないかと、TV画面をみながら、大切な人の安否もわからず、もやもやしていました。

でも今、個人で東北地方へいくことはやめていただきたいです。

友人が3日ほど前に埼玉から宮城へ向かいました。
日本列島を北上するには、西側から大きく周っていくか、まっすぐ北上する4号線を使うかの2択しかありません。

友人は4号線を使いましたが、埼玉北部から宮城の名取まで、片道14時間もかかりました。
それだけ、道が混雑しているということです。
全国から人が殺到しております。
プリウスのように燃費のいい車でも、土砂崩れでグチャグチャになったデコボコの道を通ったり、道がアチコチ閉鎖されているため大きく山道を迂回していったりすると、
非常に多くのガソリンを消費することになります。
ガソリン満タン(普通車の場合、約45L)にしていっても、あっという間にからっぽです。

おまけに、仙台や福島のガソリンは枯渇しており、
ガソリンタンクも持たずに向かった人々は、現地から帰ることもできずに車を乗り捨て、
現地の貴重な食料を消費させてしまっている人も多くいます。

これではミイラ取りがミイラの状態です。

現地では、重たい水を運んだり、怪我をした人を運んだり、移動のためにガソリンを非常に貴重としています。
ガソリンの消費は命にかかわります。

そればかりか、押し寄せた人々が、周辺の県のガソリンや食料までも消費していくので、ますます現地の人が苦しめられてしまいます。
仙台のガソリンスタンドは6時間超の行列ができていたらしいです。今はもう残量が全くありません。給油車もきません。

道路が混雑することにより、現地に物資を運ぶためのトラックの到着が遅れ、自衛隊や大きな団体の支援が届きにくくなります。

今は我慢の時です。
大型トラックにたくさんの物資を詰め込んで、ガソリンも200L以上を用意して、個人で(もちろん運転交代制)絶対それらを届けられる、というような方でない限り、行っても現地の人々を苦しめるだけの結果になってしまいます。
現地には電気も水道もありません。夜は真っ暗で、何も行動することができないと友人は言っていました。

そんな人達を少しでも減らしたい、というのが私の気持ちです。
どうか気持ちが伝わりますよう。

(エントリーより、一部抜粋)
* * *

 これはメッセージの一部だが、“今、被災者の力になりたい! 現地で助けたい!”と思う人たちに、現段階で選ぶべき行動は何なのか、切々と訴えていると感じる。

 もう少し時間がたてば状況は変わり、被災地でボランティアが活躍できるようになるだろう。

 だが今は「いちごさん」の“ミイラ取りがミイラ”といった、被災者をさらに苦しめることにならないよう、慎重に行動したい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン