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選挙になると候補者が「政策よりも握手攻勢」になる意外な理由

 いよいよ選挙戦スタートとなると、街中を選挙カーが走り回って、候補者の名前を連呼し始める。そんなことより、どういう政策を考えているのか、じっくり聞きたいと思うが、公選法上、「政策を語る」選挙戦はなかなかできない。行政改革担当大臣の補佐官を務めたこともある、「政策工房」社長の原英史氏が解説する。

 * * *
 例えば、できるだけ多くの有権者と接しようと、選挙期間中に自宅や職場を回ることは、「戸別訪問の禁止」に引っかかる(公選法138条)。

 ホームページの更新、ブログやツイッターで政策を語ろうとすれば、これは違法な「文書図画の頒布」(同142条)。解禁論は高まっているが、現時点ではアウトだ。

 それでは、政党マニフェストを配って読んでもらおうと思うと、ここにも制約。配布場所は、「選挙事務所内」「演説会場内」「街頭演説場所」に限定され(同142条の2第2項)、事務所の前で配ることさえ許されない。逆に有権者の側からすると、選挙期間中にマニフェストを入手するのは至難の業。

 こうして結局、選挙運動は、選挙カーでの連呼、街頭演説、演説場所間の練り歩き(旗を立ててお伴とともに歩くことから、関係者の間では「桃太郎」と呼ばれる)といったことに絞られていく。

 もう一つ許されているのが「電話作戦」だ。選挙期間中、突然電話がかかってきて「××候補をよろしく」と言われた経験はあるだろう。公選法上、「戸別訪問」は禁止なのに、「戸別電話」はOK。それも根拠ははっきりしないが……。

 政策を語らず、名前やキャッチフレーズを大声で叫ぶ。「桃太郎」では、歩きながらの演説さえ禁止のため、ひたすら握手だけを繰り返す。政治家が「政策は二の次」になる原点はここにある。
 
※SAPIO2011年3月30日号

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