国内

大前研一氏「本当のことを言ったら絶対選挙で当選しない」

 過去に都知事選・参議院選に出馬したことのある経営コンサルタントの大前研一氏。今でも「日本の窮状を救うため、ご出馬いただけないだろうか?」という声が寄せられるが、果たして氏はどうこたえるか?

 * * *
 申し訳ないけれども、僕が政治をやることは二度とありません。1995年4月の東京都知事選と7月の参院選で一敗地にまみれた際、『大前研一敗戦記』(文藝春秋刊)を書いて政治からは足を洗った身だからね。

 あの経験で得た教訓は何かというと、正しさがすべての経営の世界と違って、政治の世界では、本当のことをいったら絶対選挙で当選しない、当選するには嘘をつかないといけないということ。今の日本では、政治家になるのは嘘つきになるということなんだよ。
 
 たとえば、いま日本の国家財政は借金が1000兆円に膨らんでデフォルト(債務不履行)寸前の窮状にあるわけだけど、それを解決するためには何をすべきか? 現実問題として、日本に財源たりえる天然資源がない以上、国民が負担するしかない。
 
 つまり、本物の政治家なら「借金を子孫に残してはいけません。現役世代でなんとかしましょう」と、増税も含めた財政再建策を訴えなければいけない。でも、正直に「増税」を訴えたら、この国では選挙民がその人を選ぶことはあり得ないんだ。
 
 実際、僕が都知事選に立候補した時もそうだった。都が抱える問題を調べ、考え抜いた末に「新・東京ビジョン」という政策パッケージを作って発表したけど、有権者もマスコミも、その中身には見向きもしなかった。

 そして、「都政から隠し事をなくします」「ちゃぶ台をバーンとひっくり返す」とだけいって自宅に籠もり、選挙運動すらしなかった青島幸男さんが圧勝した。でも結局、青島さんは“都官僚”の言いなりで何もできず、都民から退陣コールを浴びて再選断念に追い込まれたわけだ。

※週刊ポスト2011年4月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
新アルバム発売の倖田來未 “進化した歌声”と“脱がないセクシー”で魅せる新しい自分
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン