インタビューに答えた高田鳥場氏
――楽天の三木谷さんやユニクロの柳井さん、ソフトバンクの孫さんが多額の義援金供出を発表しました。「企業」と「個人」の被災地への貢献についてはどうお考えですか? 分けて考えるべきものなのでしょうか。
高田鳥場:ここでは「個人」と「企業」を分けて考えなくてはいけないと思います。「個人」の人格は手助けしたい気持ち、ボランティア、募金といった行為がありますよね。これは人間としての普通の行為で受け入れられやすい。でも、これを企業がやると途端に気持ちが悪くなる気がします。いや、気持ちが悪いというか営利を目指す集団である以上「偽善」となぜか思われるリスクが非常に高い。
柳井さん、三木谷さん、孫さんは「超お金もち」ということを除いては個人人格でやった人間として尊敬すべき行為としてみんな受け止めていると思うんですよね。
伊藤園が被災地に60万本の飲料水を提供したり、日清食品がカップ麺100万食を提供したというのは「企業人格」です。企業が最も得意とする「製造」「物流」をプロとして活かした活動です。ソフトバンクも被災地の18歳未満の震災孤児の携帯電話料金を無料にするなどと表明しました。ソフトバンクの場合は、企業としてやること、孫さん個人としてできることを分けてやったのが世間の好感度を高めたのではないでしょうか。
――どことは言いませんが、「なんでお前らがそれを言うの? そんなことやるの?」って広告もけっこうありましたよね。
高田鳥場:その話は勘弁してよ! ただね、前に言ったIBMにしても、もしかしたら「サンプリングサービス」的に将来の商売にしようとしているかもしれませんが、実際様々な被災地の企業が苦しい今、「クラウドサービス」を無料で使えることは企業にとっては重要なわけです。彼らはキチンとプロとしての仕事をしたんですよ。それは決して企業ドメインから外れてはいない。
――つまり、震災への貢献についても「本業」をやれってことですね。
高田鳥場:そうですね。政治家は政治をやればいい。各企業はお客様が喜ぶ自分たちの一番得意なことをやればいい。プロではない他のことについては無力でいいのではないかと思ったりしています。