ビジネス

中国のワハハ集団 日本のヨーグルトメーカーに食指伸ばす

日本株の約6割は外国人投資家が保有しているが、なかでも最近、存在感を増しているのが、「チャイナマネー」である。なぜチャイナマネーが日本市場に流入しているのか、『中国株「黄金の10年」』などの著書がある、TS・チャイナ・リサーチ代表の田代尚機氏が解説する。

* * *
日本市場へのチャイナマネー流入を後押ししているのは、中国の「カネ余り」である。

貿易収支の黒字や海外からの直接投資などが相変わらずプラスで推移するほか、人民元上昇期待や経済発展への期待の高まりを背景に、いわゆる地下ルートからの資金流入も相次いでいる。インフレ懸念から当局がいくら金融引き締めを行なっても、むしろ金利上昇を見越してさらに海外マネーが流れ込む格好なのだ。その一方で、中国から海外への投資は、一部の政府が認める機関投資家(QDII・適確国内機関投資家)に限られてしまうため、次から次へと中国に資金が流れ込む構造に当面変わりはないだろう。

実際、こうしたカネ余り現象を背景に外貨準備高は上昇の一途を辿り、いまや3兆ドルに迫る勢いである。

こうした資金の一部は、中国の政府系ファンド・CIC(中国投資)が海外投資する際の原資となっていることに加え、人民元の国際化を進めるために、中国では「走出去」と呼ばれる海外企業へのM&A(合併・買収)も積極的に進められている。たとえばレナウンやラオックスといった日本企業の買収はその一環であり、最近でも中国の飲料大手・杭州娃哈哈(ワハハ)集団が日本のヨーグルトメーカーに食指を伸ばしていることが報じられている。

中国のさらなる成長のためには海外、特に日本が誇る技術力が必要となるため、現状通りのCICによる日本への純投資が増えるのはもちろん、そのような買収目的の投資も進むと見て間違いないだろう。

※マネーポスト2011年5月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン