国内

学者に原発マネー8億円 一部電力会社「歪んだ情報提供ない」

 東京電力・福島第一原発事故の発生直後から、連日テレビに出演し、事故について解説していた関村直人・東京大学大学院工学系研究科教授ら多くの学者に対し、この5年で総額約8億円もの「原発マネー」が流れていたことをSAPIOは報じた。カネを出していたのは電力会社、原発メーカー、そして政府。

 資金の名目は「奨学寄付金」「共同研究費」「受託研究費」の3種類がある。

 わかりやすく言えば、寄付金は企業などが用途を限定せずに「頑張って研究してください」と渡す資金であり、共同研究費、受託研究費は企業の費用負担で研究が行なわれる、つまり「このお金でこの研究をしてください」という性質の資金提供だ。

 このうち電力系企業はこうした資金提供について本誌にこう回答してきた。

【原子力エンジニアリング】 総額250万円 出資比率は関西電力56%、原子燃料工業44%。炉心管理などが業務。

「社会的貢献の一環として寄付した。特段の問題はないと考える」

【日本原子力産業協会】 総額30万円 10電力会社、メーカー、建設会社、銀行、地方自治体など約480団体が会員。

「寄付はしていない。地方組織からの寄付についてはわからない」

【日本原子力産業協会】【 関西原子力懇談会】 総額524万円 日本原子力産業協会の関西地方組織。

「原子力の平和利用の推進や知識普及活動などの一環として出資している。先生方は科学的な専門の知見に基づきコメントされたと考える」

【日本原子力産業協会】【 東北原子力懇談会】 総額35万円 日本原子力産業協会の東北地方組織。

「先生の研究全般に賛同して出資した。原子力の安全面で国民に不利益を与えることはなかったと思う」

【日本原子力発電】 総額250万円 株主構成は東京電力28%など9電力会社と電源開発で合計90.42%となる。東海、敦賀の両発電所を運営。

「原子力の安全に関する研究を奨励したいということで出資している。国民に歪んだ情報を提供することになるとは全く考えておりません」

【関西電力】 総額約788万円 11基の原子力発電所を持つ。

「受託研究費は当社と大学が契約したもの。ご質問のような指摘にはあたらないと考える」

※SAPIO 2011年7月20日号

関連記事

トピックス

愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
箱根駅伝では、沿道の多くの観衆からの声援が、ランナーたちへの大きな追い風になる(写真は2025年正月の往路“花の2区”。撮影/小倉雄一郎<小学館>)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈2〉「観衆はみんなオレの味方」と考える究極のポジティブ思考
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン