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2011.08.16 07:00  週刊ポスト

内田樹氏 一流大学秀才入社殺到がテレビから創造性失わせた

総視聴率の低下に加え内外から寄せられる批判――テレビの凋落に歯止めがかからない。それはなぜなのか、神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏が分析する。

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CMを流すことと引き換えにクオリティの高いコンテンツを視聴者に無料提供するという民間放送というアイディアは20世紀で最も成功したビジネスモデルである。このシステムは絶対に手放してはならないと私は思っている。だが、このすぐれたビジネスモデルを破壊しているのはテレビ業界自身である。

草創期のテレビにかかわったのは、1960年安保闘争に敗れ、就職先もない“やさぐれた”人々だった。先行モデルもなく制約もない中でこの世代のテレビマンたちは高い創造性を発揮した。

だが、この華やかな成功が結果的にテレビを破滅へ導くことになる。一流大学出の秀才たちがテレビ界に殺到してきたからだ。

秀才は本質的に「イエスマン」であり、前例を墨守し、上司の命令に従うことはうまいが、クリエーション(創造)にも冒険にも興味がない。安定した組織を維持し、高給や特権を享受することには熱心だが、危機的状況への対応や新しいモデルの提示には適さない。

草創期の冒険的なテレビマンが姿を消し、成功した先行事例を模倣することしかできないイエスマンがテレビ界を独占するに至って、テレビからは創造性も批評性も失われた。

この先テレビが復活する可能性があるとすれば、一度どん底まで落ちて、世間から「テレビマンは薄給で不安定な職業」と見なされ、秀才たちがテレビを見限った後だろう。

※週刊ポスト2011年8月19・26日号

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