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南こうせつ 紅白歌合戦を「畏怖の念あった」と出場固辞した

今年の大晦日で62回目を迎える『NHK紅白歌合戦』(午後7時15分~)。歌手にとって最高の栄誉といわれる『紅白』だが、出場を果たせる歌手はほんの一握り。夢見ながら果たせない歌手のほうが圧倒的に多い。しかし一方では、ヒット曲を出しながら、出場を辞退するケースも。

南こうせつ(62)は、「かぐや姫」時代の1973年に『神田川』が160万枚の大ヒット。出場が確実視されたが、歌詞の中の「クレパス」が商品名であるため、NHKが「クレヨン」への変更を要請。結局、南は出場を固辞した。

あくまで自分たちの歌詞にこだわり抜いたかぐや姫の姿勢は、ファンの若者たちから圧倒的に支持されたものだが、当事者の思いはそればかりではなかった。南自身が、当時をこう振り返る。

「ぼくのなかには紅白歌合戦に対して、すごい畏怖の念がありました。当時は夜9時に始まったので、それまでにご飯をすませ、親たちはお酒を飲んで年越し蕎麦を用意して、みかんを手の届くところに置いて、みんなで紅白を待つんです。それがぼくのなかの紅白。聖域なんです。“TシャツにGパン姿のぼくなんかが、まだ出てはいけない”という特別な意味がありました。

それに、フォークというのはまったくマスコミに迎合せずに売れてきた。あそこで出てしまうと、大きなマスメディアの中に、フォークそのものがのみ込まれてしまうという危惧も、どこかに感じていました」

南が初めて紅白に出場するのは、1992年。曲はあの『神田川』。かつて問題となった『クレパス』を、このときはもちろんそのまま歌った。

南が子供のころから感じていた紅白歌合戦への特別な思い。1961年生まれの作家・白河桃子さんも、紅白は大晦日の家族の「恒例行事」だったと話す。

「家族そろってお蕎麦を食べながら、レコード大賞に続いて紅白を見る。それが家族の習慣でした。当時はどの世代もみんなが知っている歌が多かった」

テレビは一家に1台で、子供から大人、お年寄りまで、家族が時間と話題を共有する大切な行事だった。それだけに紅白で起きたことは瞬く間に日本中の話題となった。

※女性セブン2012年1月5・12日号

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