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澤穂希選手 日本の「王道」食が大好きでピザだけが苦手な理由

澤穂希選手 なぜピザだけ苦手?

食事情に詳しいライター・編集者の松浦達也氏がニュースや著名人などに縁のある料理を紹介する「日本全国縁食の旅」。今回は「なでしこジャパン」のあの人の苦手料理について、語ります。

* * *
暗い話題の多かった昨年、女子サッカー「なでしこジャパン」の女子ワールドカップ優勝は唯一最大と言ってもいい国民的な歓喜を巻き起こしました。大会MVPと得点王をキャプテンの澤穂希選手が獲得。そして先日スイスで行われたFIFA(国際サッカー連盟)年間表彰式で、男女を通じてアジア人初のバロンドール(年間最優秀選手)獲得という歴史的偉業を達成したのです。

澤選手は、東京都府中市生まれ。好きな食べ物に「寿司、じゃんがらラーメン(麺かため)、茶碗蒸し、白飯、たこ焼き」などを挙げ、ふだんの食事もごはん、味噌汁にしょうが焼きといった定食系のメニューや、自分で握ったおにぎりなど。単なる「和風」ではなく、日本人の「王道」とも言うべき食べ物がお好みのよう。

W杯優勝後のインタビューでも「いま食べたいものは」という質問に「お寿司」と即答したほどの寿司好きで、合宿や大会前には、青山にあるお気に入りの寿司店で白身海老を注文し、おみやげとして太巻きを持ち帰るといいます。

基本的には好き嫌いはないという澤選手。しかし唯一と言っていいほどの数少ない苦手な食べ物が実はピザ。アメリカのリーグにも数年間の参戦経験がある澤選手は、当時の経験と引換に苦手な食べ物ができてしまったのだとか。W杯直後に行われたバラエティ番組でこんなコメントをしていました。

「アメリカ時代に何か月間か週末の試合が終わったあとにピザ! という生活が続いて、気持ち悪くなって受け付けなくなっちゃったんです」

19世紀にイタリアから持ち込まれたピザは、いまではハンバーガー、ホットドッグと並ぶ、立派なアメリカの国民食。週末のたびにピザを胃袋に放り込むアメリカでのピザの消費面積(!)は1日100エーカー(東京ドーム8.5個)分で、国民一人あたりの消費量は年間23ポンド(約10kg)という300億ドル産業なのだとか。アメリカの子どもの1/3が「肥満」判定を受ける理由に、学校給食で毎日のように出されるピザやフライドポテトを挙げる人も少なくありません。

W杯優勝やバロンドール獲得などの歓喜に我々が浸っている間に、気づけばもうロンドン五輪はもう目の前。お節介なのは承知の上ですが、いくら「女子サッカーの地位向上のため」のメディア露出とはいえ、バラエティで嫌いなものを無理に召し上がることはありません。節分には、お気に入りの太巻きを恵方に向かって存分に召し上がっていただきたいもの。ちなみに今年の恵方は北北西です。


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