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高橋名人 ネトゲ廃人を「たかがホビーで廃人なんて」と苦言

ネトゲ廃人に苦言を呈した高橋名人

 ファミコンブームに沸いた1980年代年から1990年代、スター級の人気を博した、元ハドソン社員の高橋名人こと高橋利幸さん(52)。当時は、ゲームを宣伝する立場でありながら、子供たちのことを考え、あえて「ゲームは1日1時間」と発言したこともあった。その名人は、いまのゲーム界をどのようにみているのだろうか。ゲームに依存してしまうネトゲ廃人、ひいては子供たちのひきこもりの問題まで…長年、ゲーム界を支えている名人だからこそいえる、緊急提言。

――当時、イベントで「ゲームは1日1時間」といった、その真意は?
名人:きっかけは、全国キャラバンで、目の前にゲームに参加する250人ぐらいの子供達を囲む大勢の父兄の顔を見たときに、何かいわなきゃいけないと思って「ゲームばかりやっちゃだめだぞ。1時間ぐらいで集中して、あとは外に遊びにい行けよ」っていったんです。

 1980年代にファミコン登場するまで、ゲームセンターは不良の溜まり場と思われていたり、子供達に好ましくないとされたゲームが家庭にはいってきていつでも遊べるようになった。子供はゲームしかしなくなるのではと危機感を持つ。でも、やっぱり子供は親からすると基礎体力も知識もつけないといけないから、ゲームは1日1時間ほどにして、あとは運動や勉強したり、友達と話したりしようよっていう意味も込めていい始めたのが、「1日1時間」という発言なんですよ。

――でも、ゲーム会社の人が、ゲームをやるなっていうのはマズイのでは?
名人:その場で、問屋さんも聞いていたので、すぐにハドソンに連絡がはいったようで、次の日には会社の役員会ですよ。「高橋がなんか変なこといってるらしい」と。でも結局、会社の方針で“ゲーム業界の息を長くするためには、健全な方向でいったほうがいい”ということになり「ゲームは1日1時間、外で遊ぼう元気よく、僕らの仕事はもちろん勉強、成績上がればゲームも楽しい、僕らは未来の社会人」という5大標語を作ったんです。

――いま、ゲームをやりすぎて“ネトゲ廃人”になる人もがいます。
名人:だって、それ大人でしょ。大人はね、何いったって聞くわけないですから。

―― “ネトゲ廃人”についてどう思います?
名人:ダメです。廃人になるまでやるなんて。たかがホビーですよ。娯楽っていうのは、何かをしてそれを休むためにあるんです。その娯楽を24時間やったら娯楽じゃなくなるんですよ。ホッとする瞬間を作るから休めるんであって。それがパチンコとかでもいいわけですよ。他にもテレビゲームやスマホだったりネットゲームだったり、サッカーやったりとか何でもいいと思うんですよね。

――同じように、引きこもりも増えてますけど?
名人:引きこもりはもう、親の甘やかしですよ。外に引っ張り出せばいいですよ。親御さんが80才になると、子供は5、60才ですよ。両親亡くなったらその後どうするんでしょう。それを考えたことないのかなって。

 あとは人生を一瞬でも楽しいことを知ればいいんじゃないかな。ネットだけなくてね。スポーツした後の汗が気持ちいいとか。スポーツするのは大変でも、それを3か月やると楽しくなるというのを経験すると引きこもりじゃなくなると思うんです。引きこもりってことは結局、自分を甘やかしているだけですから。気づきなさいってことですよね。

――いまのネットゲームについてはどう思います?
名人:ネトゲ廃人だとか引きこもりだとかは別として、普通にみんなで楽しむツールとしては、ぼくはいいと思いますよ。例えば東京と札幌と福岡の友達と、友達になるかもしれない人と、ネットワークをつなげて一緒にゲームを進めるとかね。ここ5~10年ぐらいでやっとその環境ができて、いまだからこそできる遊びじゃないですか。

 いまのゲーム界は、スマホとかSNS系統のゲームが大人気になってプレースタイルがだいぶ変わってきていますので、それに対応できているところがこれからは生き残っていくんじゃないかな。かといって普通のコンシューマーゲームが無くなるっていうことではなくて、遊び方がどんどん変わってくるでしょうね。

――いま、転職した会社ではどんな仕事をしていますか?
名人:いまはですね、ゲームチャンネルの略で『ゲッチャ!』というニコニコ生放送の番組を主に作る部署でプロデューサーをしています。基本的に、月曜から木曜日までは『高橋名人の16SHOT TV』っていうフリートーク番組をやっていて、金曜は『ゲッチャ!』という番組で家庭用のゲームを紹介しています。

――28年9か月働いたハドソンを辞めて転職した理由は?
名人:まぁ、去年52才になって、普通の会社だと65ぐらいが定年なので、何か新しいことをするなら、いまがラストチャンスかなぁというのがまずひとつ。いままでひとつのゲーム会社の宣伝という立場で、ハドソンのゲームだけしか紹介ができなかった。

 退職の一年前から『ゲッチャ!』のコーナーを担当していたんだけど、インターネットの番組の可能性が大きいと感じて、これからはいままでの経験を生かして、いろいろなメーカーのゲームを紹介してみたいと思ったんです。今までお世話になったゲーム業界への恩返しをしたいと。もう最後は楽しく、経験値を活かして楽しくやっていければいいかなとは思いますね。

【高橋利幸(たかはし・としゆき)】
1959年5月23日、北海道出身。1985年~1990年にかけて日本全国で一大ブームを巻き起こした“ファミコン名人”として活躍。ハドソンの社員だったが、16連射で一躍、子供達のヒーローとなる。2011年5月31日付けで約29年勤めたハドソンを退社。インターネット番組『ゲッチャ!』では「名人」の肩書きでゲーム番組やイベントのMC、プロデューサー業など多岐にわたり活動中。

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