ライフ

尿道狭窄症の根本的治療 「口腔粘膜利用尿道再建術」有効

尿道狭窄症は男性に多い病気で、外傷や感染症の後遺症により尿道内腔が狭くなり、排尿が困難になる。重症化すると自力で排尿ができず、尿路感染や腎機能を損なう危険がある。

治療は、狭窄が短い場合は狭窄部を切り取り正常な尿道同士を繋ぎ直す尿道端々吻合術を行ない、長く狭窄している場合は口腔粘膜を代用組織として採取し狭窄部に貼りつけ、尿道を拡張する再建術を行なう。

尿道の内腔を覆う尿道粘膜に何らかの傷がつき、傷が治る過程で瘢痕化を起こして尿道が狭くなるのが尿道狭窄症だ。原因は高所から落ちて硬いもので会陰部を打撲する騎乗型損傷、交通事故などによる骨盤骨折、尿道炎などの感染症、尿道内視鏡手術や尿道カテーテル留置の際の尿道損傷などがあるが、約3割が原因不明だ。尿道下裂という尿道の出口が途中で開口する先天性疾患で、子供の頃に治療した部分が成人になり狭窄することもある。

尿道狭窄症は泌尿器科医ならば誰でも遭遇する機会がある病気だが、さほど頻度が高くなく、十分な治療経験を積んだ医師が少ない。防衛医科大学校病院泌尿器科の堀口明男医師に聞いた。

「尿道狭窄症に対しては、尿道拡張(ブジー)や尿道内視鏡で直接見ながら狭窄部を切開する内尿道切開術といった治療を選択する傾向があります。ただし、これらの治療はあくまでも対症療法であり、瘢痕が治るわけではないので、高い確率で再狭窄します。

再狭窄を繰り返す難治症例や複数箇所が狭窄している症例を根本的に解決する唯一の方法は、尿道再建術を行なうことです。しかし、国内外問わず積極的に実施する施設が極端に少ないのが現状です」

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2012年2月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン