国内

キラキラネームの増加で「名前の3分の1も読めない」と教師

「し水」「中の」「わた辺」…いったい何と書いてあるのかと思いきや、これらは小学生たちが書いた自分の名前だ。「習っていない漢字は平仮名で」──そんな学習指導要領に“縛られた”結果である。

 平仮名と漢字を交えて名前を表記することを「交ぜ書き」というが、このような表記の仕方がうまれた背景には、当て字など、読み方がわからない名前が増えていることもあるようだ。

 明治安田生命の「名前ランキング」によると、2011年生まれの子供で、いちばん多かった名前は「陽菜(ひな)」と「結愛(ゆあ)」。5位には「心愛(ここあ)」と芦田愛菜(7才)と同じ「愛菜(まな)」がはいった。いずれも当て字を使った名前だ。

 また、「希星(きらら)」「来桜(らら)」「絆星(きら)」「月(あかり)」など、いわゆる“キラキラネーム”といわれる難読の名前も増えており、「天響(てぃな)」など、ルビをふってもらわなければ、とうてい読めないような名前も多い。

 それだけに、「みんなが読めないから」という理由で、漢字を使わせない現場の事情もわからないではない。ある小学校教諭は、こう本音を漏らす。

「英語読みをさせたり、大人も読めないような難解な漢字を使ったり。子供は誰も読めませんよ。正直いって、私でも新入生の名前の3分の1は読めません」

 いまの流れが続けば、いずれは「当て字」の名前のほうが多くなる可能性もありそうだ。埼玉県在住の主婦がいう。

「小1の娘にこういわれました。『名前を書くときは平仮名じゃないといけないんだよ。だって、落とし物を拾っても誰のだかわからなくて、届けられないから。いちいち先生に聞きに行かなきゃいけないじゃん』って。確かに…と納得してしまいました」

 だが、交ぜ書きすることで、かえって名前が読みにくくなってしまうケースもあるようだ。

「同じクラスに『咲心』と書いてクミちゃんと呼ぶ子がいるんですが、2年生でまだ『咲』の字を習っていないから、展示物には『く心』と書いてある。“えっ? クシン(苦心)ちゃん?”と読み間違える親御さんも多いんです。『桜空』と書くサラちゃんは、展示物には『さ空』ちゃん。かえってわかりにくいと思うんですが…」(34才・主婦・神奈川県)

 ある小学校の教師は、こういい切った。

「フリガナをふればいいだけの話で、漢字を書かせない理由にはならないはずです」

 交ぜ書き問題に警鐘を鳴らす立命館小学校副校長の陰山英男さんは「書いてもいい」からさらに一歩進んで、「書かせるべき」という立場を取る。

「たしかに、いまは当て字が多いので、初めて目にするとどう読むのかわからない名前もあります。でも、読めないならその場で教えればいいし、子供同士で教え合ってもいい。当て字であろうが、漢字でつけられたものであれば、漢字で書かれたのが本当の名前。相手を尊重するという意味でも、その漢字を読めるようにすべきです」(陰山さん)

 そのうえで、こう続ける。

「1年生のうちは漢字で書くことが難しいこともあります。しかし、2年生になったら漢字で書かせるべきです。あまり知られていないかもしれませんが、低学年の『生活科』の授業では、自分の名前の由来を学習する時間があります。親がどんな思いで子供の名前をつけたのか。それを知ることで、自分の名前を大切にしようというのが狙いです。教師が名前を漢字で書かせないのは、こうした名前の指導をしていないということにほかなりません」

※女性セブン2012年3月15日号

関連キーワード

トピックス

日本のブライダルファッションの先駆け的存在、桂由美さん
《芸能人も多数着用》桂由美さんが生前嘆いていた「ナシ婚」 ウエディングドレスで「花嫁を美しく幸せにしたい」強い思い
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン