結婚式ならぬ離婚式!? まだまだ聞き慣れない言葉だが、実は最近多くのメディアに取り上げられ、NHKではドラマ化もされた。年間25万組が離婚するいまの日本で、徐々に浸透しつつある離婚式とはいったいどんなものなのかを、離婚式プランナーの寺井広樹さんに聞いた。
――離婚式とはどんな流れで進行するのですか?
寺井:まずは新郎新婦ではなく“旧郎旧婦”様が、仲人ならぬ“裂人(さこうど)さん”と入場し、離婚に至った経緯を司会者が読み上げます。
次におふたりからの挨拶、友人代表の挨拶が終わったら、“最後の共同作業”として、結婚指輪をハンマーでたたき割って“Re:婚がえる”の口に投げ入れる儀式を行い、会食。そして、参列者による花道を、ふたりが退場して終了です。所要時間は約2時間半です。
――料金はいくらですか?
寺井:結婚式場やお寺で行う場合は20万円、レストランや屋形船なら10万円、浅草(東京・台東区)の離婚式専用会場“離婚屋敷”でしたら5万5000円。ご夫婦からいただくのは基本的にこれだけです。参列者には、食事代(3000~5000円)をいただきます。
――結婚式のように余興などもあるのですか?
寺井:おふたりの結婚式や新婚旅行、結婚生活などをまとめたスライドショー(1万円)や、受け取った人が次に円満離婚できるといわれるブーケトス(7000円)、別名“お色崩し”のパイ投げ(1万円)などを行うケースも多いですね。
――裂人、お色崩しなど、不謹慎ですが笑える要素が多いですね、離婚式って…。
寺井:ネーミングは凝りましたが、式はいたって真剣です。そもそも卒業式やお葬式など“終わりの式”は多くあるのに、人生の大きな節目でもある離婚式がないのはおかしい。あと、私はこの仕事を始めてから、結婚式に出ると、きれいごとばかりをいってるようで違和感を感じるんです。
その点、離婚式は“素そのもの”。みなさん格好つけずに本音をさらけ出すので、浮気や借金問題など、きわどい内容が飛び出すケースもありますが、これは背負っていたものを降ろす、飾り立てられていたものを脱いでいくことになるので、式が終わるとみなさんスッキリしています。私は、結婚式より離婚式は感動して当たり前と思っています。
何年、何十年もいっしょに生活をしていたら、当然ドラマがたくさんあるもの。その年月を振り返るだけで充分成立するので、演出は一切いりません。離婚式は当事者でなくても、感動的なものなんです。
※女性セブン2012年6月28日号