国内

谷垣総裁がしきりに口にする「解散」はまだだと考える根拠

 自民党の谷垣禎一総裁はしきりに「解散」を口にする。だが、ジャーナリストの須田慎一郎氏はそれはないと分析する。根拠は自民党がメガバンクに融資の申し入れをしていないからだ。須田氏が報告する。

 * * *
 3年前の総選挙では、自民党はメガバンク3行から総額約70億円もの資金を借り入れ、選挙戦を戦った。

 今回、総選挙を睨んだ「新規融資」の申し入れは自民党からあったのか。メガバンクの担当者が証言する。

「少なくとも現時点では、自民党から新規の融資について申し入れはない。非公式ベースのサウンドすらない」

 仮にここ1~2か月のうちに解散・総選挙が予想されるならば、「サウンドすらない」というのはあまりにも動きが遅い。自民党の有力国会議員もこう証言する。

「選挙となれば、自民党は銀行から借り入れて資金を確保しなければ1日たりとも選挙戦を戦えない。ましてや今回は、野党の立場に置かれている。今まで通りに銀行が融資に応じてくれるかどうかは不透明だ。そうした意味では、非常に動きは鈍い」

 こうした点から、自民党は本気で野田政権を解散・総選挙に追い込むつもりがあるのか、はなはだ疑問だ。自民党の首相経験者が言う。

「今回の“3党合意”によって、自民党は実質的に与党に復帰できた。つまり、8月から始まる次年度予算編成にタッチする権利を得たということだ。予算編成に関わるということはカネも票もついてくることを意味する。解散は党の体力をつけてからでいいだろう」

 総選挙ならば大惨敗が予想される民主党。カネのない自民党。双方とも先延ばししたい本音を抱える中、谷垣総裁の雄叫びが虚しく響く。

※SAPIO2012年7月18日号

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