ライフ

三途の川見た98才女性「真っ青な色でアヤメ咲いてた」と証言

 日本人の平均寿命は、男性が79.6才、女性が86.4才で、世界一の長寿大国となった。還暦(60才)や古希(70才)といっても人生はまだまだこれから。100才以上の人口は4万7000人を超え、10年前の3倍に。いまや人生100年が語られる時代だ。

 だが、いくら長寿の恩恵に浴しても、ボケてしまったり、寝たきりの姿では、残りの人生を楽しめなくなってしまう。

「健康寿命」という言葉をご存じだろうか。これは一生のうち、生活に支障なく過ごせる期間の平均を示すもので、厚生労働省の調査結果(2010年)では、男性は70.4才、女性が73.6才。平均寿命と比べると、10年も短くなる。つまり、寿命は延びても、医療や介護を必要とする期間も長いことを示しているのだ。

 ところが、双子の100才姉妹・「きんさんぎんさん」として約20年前に大ブレイクした母親・蟹江ぎんさん譲りの長寿に恵まれた蟹江家の平均年齢93才の4姉妹は、この健康寿命をはるかに超えて、元気いっぱい。介護知らずの日々を謳歌している。だからこそ4姉妹は、「あんなふうに年をとりたい」と世の羨望を集めているのかもしれない。

三女・千多代さん(94才):「だけどな、そりゃ、いまはな、4人とも人様の世話にならんと、いけしゃあしゃあと生きとるが、長い人生、故障はあったよ。だって、おみゃあさん、機械だって壊れるだがね(笑い)」

 4姉妹も大なり小なり病気を抱えてきたが、それを乗り越えてきたのだという。

 例えば千多代さんは、20代のころ慢性の「胃炎」に悩まされた。原因は、過酷な農作業による“ストレス食い”だった。

千多代さん:「朝は日の出とともに起きて、とっぷりと日が暮れるまで畑仕事に汗を流したがね。もう、腹が減って、3杯でも4杯でもご飯をたいらげてな。夜中も腹が減って眠れんの。それでたんすの中に隠しといた羊かんや干しいも、煎餅などを、こっそり食べるようになった(笑い)。いまでいうたら“ストレス食い”だわな。そいだでぶくぶく肥えて、いつも胃の調子が悪かった。自分で病気をつくっとったな」

 その胃炎を克服したのは30才を過ぎてから。農作業にも慣れ、胃炎が徐々に解消するようになった。千多代さんは、それ以後、病気をしたことがない。

五女・美根代さん(89才)がひとり息子の好直さん(現在64才)を出産したのは、25才のとき。翌年、彼女は再び妊娠したが、「子宮外妊娠」とわかり、手術を受けるも流産という残念な結果に終わった。

美根代さん:「手術のあとが化膿して、またもう1回手術して、生きるか死ぬかの瀬戸際になった。医者から“もう、子供は産めません”といわれて悲しかったが、それからは大きい病気をしたことがない。入院もない。まあ、人並みに風邪を引くぐらいだがね」

 いちばん上の姉、年子さん(98才)は、幼少のころから健康そのものだった。その年子さんが初めて寝込んだのは、80才を目前にしたとき。イベントに招かれる母・ぎんさんの介添え役で、あちこちに付いていくようになってからだ。

年子さん:「重たい荷物を抱えて、駅のホームなんか、走るだがね。それでくたびれ果てて、血圧が異常に上がってとうとう入院することになった。おっかさんはピンピンしとるのに、私がくたばってしもうた(笑い)」

 1か月近く入院したが、一度は意識がもうろうとなり、生死の境をさまよった。

年子さん:「あれは、あの世へ行く途中の“三途の川”だったと思うよ。そりゃあ、真っ青な色をした川が流れとって、その脇にアヤメの花が一面に咲いて、きれいだのなんの。ああ、このまま逝ってもいいと思ったが、いやぁ、惜しいことに死に損なってしもうた(笑い)」

※女性セブン2012年8月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン