国内

“痛みをわかちあう”とプロレスを授業に採用する学校も

 いじめられっ子、不登校児の“最後の砦”として注目を集めている「フリースクール」。福岡の「フリースクール玄海」の理念は、社会の荒波に耐えうる強さを育むことだ。その力を備えた生徒には元の学校に戻ることも勧める。代表の嶋田聡氏は、予備校医学部コースの職員だった。

「医学部に受かるのは、こんな子には腹にメスを入れられたくないな、と思う性格に問題がある子ばかりなんです。何か違うな、と思って1998年に立ち上げました」(嶋田氏)

 生徒たちは朝6時25分起床。ジョギングをしたり、海に向かって“アファメーション”とよばれる自己肯定の言葉を叫んだりする。

「例えば“足が痛いけど、頑張って走ってる自分が好きだ”とか“眠たいけど早起きする自分が好きだ!”といった言葉です。自分に自信をつけさせて社会に復帰して生きていけるようにするのが目的です」(同前)

 全寮制を取るのは両親からの依存を解くためである。現在は中学生8人、高校生2人を預かるという。

「他人を思いやれて、お父さんやお母さんに感謝ができる人になってほしい。大事なのは勉強よりも人格形成だと思っています」

 同校は授業にプロレスを取り入れている。プロレスラーに講義を受け、年に1回保護者を呼んで試合を公開しているのだ。

「プロレスは『受ける技』なんです。相手がかけてきた技に、必ずかからないといけない。逃げたらいかん。耐えないといかん。すると自分がかけるときも、ここまでしたら痛いっていうのがわかるから。痛みを分かち合う、声を出す、他者本位に考えて動く……それが大事なんです。試合をするときは最初の頃は大手メディアが面白がってきたけど、みんなドン引きでした(笑い)」(同前)

 終了後は仲間と笑顔で言葉を交わす。試合を見に来た親御さんが、「あの子がここまで……」といって涙を流すことも珍しくはない。

※週刊ポスト2012年8月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン