夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、飲料メーカー勤務のご主人(56歳)。奥様(56歳)共々、池波正太郎時代小説の大ファンです。
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『鬼平犯科帳』は24巻出版されているんですが、うちには32冊あります。ダブッて買っちゃったんですよ。僕が1巻読むと女房が引き継いで読み、僕は2巻を買いに書店へ。でも10巻を過ぎると、「12巻まで読んだんだ」と自分に言い聞かせて書店に行くのに、それを忘れて「12巻を買うんだ」と思い込み、13巻ではなく、読んだばかりの12巻をまた買ってしまいました。
「領収書を持っていけば取り替えてくれるわよ」と女房。ところが、本屋に行くのにその領収書を忘れ、「同じのが2冊あってもいいか」と、13巻を購入。女房には「取り替えたよ」とウソをつき、ダブッた本は僕の書斎の本棚の奥に隠していました。でも、そのことも忘れ、女房に「本棚の本の入れ替えをやるから手伝ってくれよ」。
久しぶりでしたねぇ。「何よ、この本!」と、女房のギャーギャー声を聞いたのは。「1冊ずつ買うから忘れるんだ」と、今度は同じ池波作品の『剣客商売』16巻まとめ買いし、「これなら文句も出ないだろ」と女房の前に置くと、「アナタ、アマゾンで注文したのを忘れたの? どうすんのよ、16巻、全部ダブリになるのよ!」って、アッ、そうだった!!
※週刊ポスト2012年10月5日号