国際情報

中国の領空侵犯「安倍新政権」の強硬姿勢への牽制と識者指摘

 師走の選挙の行く末を注視しているのは国民ばかりではない。中国の情勢に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 2012年12月13日、中国国家海洋局に属する固定翼機が日本の領空を侵犯するという事件が起きた。

 航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発信する事態にもなったが、上空で両機が接近することはなかった。

 これまでも尖閣諸島周辺の海域に中国の漁業監視船や海洋監視船が現れ、領海侵犯することはあったが、空であからさまな侵犯を行うことはなかった。空は海と違い海上保安庁のような組織がないため、すぐに自衛隊が対応することとなる。その分、攻撃の可能性は高まり、それだけに海上とは違う緊張感が日本政府の間に広がった。

 いったいなぜ中国はこんな危険な行動に出たのだろうか?

 実は、ここには中国の対日政策の重要な変化のサインが表れているのだ。中国の外交関係者が語る。

「実は12月12日に北京で外交務虚会が開かれていました。これは外交部が中心になって行う会議ですが、軍も含めた関係省庁から局長級が参加して行われるもので、当面の外交政策の方向が決められます。今回の会議で最大のテーマとなったのは、当然のこと日本の問題でした。テーマはもちろん釣魚台(尖閣諸島)問題です。

 この会議では、日本が新政権発足後に尖閣諸島問題で新たな一歩を踏み出してくる可能性が高まったと分析されたのです。そこで、中国がそれを絶対に許さないという明確なメッセージを伝えておかなければならないという結論に達したのです。今回の領空侵犯はその入り口ということ。中国の圧力はこれからどんどん強まることとなるでしょう」

 そもそも中国は不思議なほど新政権に期待をしていた。それは自民党が主導権が握れば、それなりに民意が落ち着くと予測されたことや、安倍晋三前総理が前回〝雪解け〟を行ったことがイメージとして残っていたからとされる。中国では西側の選挙で繰り返されるスローガンや政策は「選挙用のポーズ」と受け止める傾向がある。そのため前半は対中強硬の言論が目立っても、それを問題視することはなかった。しかし、選挙を分析してきた外交部は、終盤に差し掛かり「これはいよいよ本気だ」(同然)と受け止めたという。

 今後、新政権が正式に発足すれば、さらに中国が圧力を強めてくることは間違いないだろう。

関連キーワード

トピックス

レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
《訃報》「生きづらさ感じる人に寄り添う」遠野なぎこさんが逝去、フリー転向で語っていた“病のリアルを伝えたい”真摯な思い
NEWSポストセブン
なぜ蓮舫氏は東京から再出馬しなかったのか
蓮舫氏の参院選「比例」出馬の背景に“女の戦い”か 東京選挙区・立民の塩村文夏氏は「お世話になっている。蓮舫さんに返ってきてほしい」
NEWSポストセブン
泉房穂氏(左)が「潜水艦作戦」をするのは立花孝志候補を避けるため?
参院選・泉房穂氏が異例の「潜水艦作戦」 NHK党・立花孝志氏の批判かわす狙い? 陣営スタッフは「違います」と回答「予定は事務所も完全に把握していない」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《真美子さんの艶やかな黒髪》レッドカーペット直前にヘアサロンで見せていた「モデルとしての表情」鏡を真剣に見つめて…【大谷翔平と手を繋いで登壇】
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と浜辺美波のアツアツデート現場》「安く見積もっても5万円」「食べログ予約もできる」高級鉄板焼き屋で“丸ごと貸し切りディナー”
NEWSポストセブン
誕生日を迎えた大谷翔平と子連れ観戦する真美子夫人(写真左/AFLO、写真右/時事通信フォト)
《家族の応援が何よりのプレゼント》大谷翔平のバースデー登板を真美子夫人が子連れ観戦、試合後は即帰宅せず球場で家族水入らずの時間を満喫
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落の原因は》「なぜスイッチをオフにした?」調査報告書で明かされた事故直前の“パイロットの会話”と機長が抱えていた“精神衛生上の問題”【260名が死亡】
NEWSポストセブン
亡くなった三浦春馬さんと「みたままつり」の提灯
《三浦春馬が今年も靖国に》『永遠の0』から続く縁…“春友”が灯す数多くの提灯と広がる思い「生きた証を風化させない」
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《タクシーで自宅マンションへ》永瀬廉と浜辺美波“ノーマスク”で見えた信頼感「追いかけたい」「知性を感じたい」…合致する恋愛観
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン