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本の専門家・ブックディレクターが勧める泣ける&笑える6冊

 何かと忙しい年末。眉間にしわを寄せ、時間に追われて過ごすことも多いけど、そんなひとときこそ、思い切り泣いたり、笑ったりしてストレスを発散してみてはいかが?

 ここでオススメするのは、ショップの本のディレクションのほか、編集、執筆、ライブラリー制作など、本周りのあらゆる分野で活動するブックディレクター・幅允孝さんがオススメする“泣ける”“笑える”本。  『スピンク合財帖』(町田康著・講談社)は、町田康が愛犬・スピンクの目線で町田家の日々を綴ったエッセイ。

「ご主人である町田氏を“ポチ”と呼ぶスピンクは、さすが町田さんの飼い犬だけあって、町田さんについてはもちろん、人間社会を刺す切れ味、たたみかけるような筆致も鮮やか。イライラしながら運転する“ポチ”が吐く、呪いの言葉に爆笑しました」(幅さん・以下「」内同)

『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』(ナンシー関著・角川書店)は、記憶だけを頼りに描く“記憶スケッチ”のおもしろさはもちろん、それを盛り上げるナンシーさんの絶妙なつっこみは名人芸の域!

「電車の中、ひとりでは読んではいけない一冊です」。泣ける本の『きつねのつき』(北野勇作著・河出書房新社)は、幼い娘・春子とおとうの何気ない日々を淡々と描いた本。

「最後の“おとう、わらってよ”というセリフに、子育てしてるお父さんは200%グッとくるはず。そこに向かって読み進んでほしい一冊です」

 そして、『気仙川』(畠山直哉著・河出書房新社)は、陸前高田出身の写真家による津波がくる前後の故郷の写真とエッセイで構成された写真集。

「震災のときの彼の思いが綴られた文章は切実で、あのとき私たちが思い感じたこと、大切な人を失った人の心の叫びを改めて思い知らされます。写真の力は雄弁です」

 その他、泣ける本で『チロ愛死』(荒木経惟著・河出書房新社)、元気になる本で『にょっ記』(種村弘著・文藝春秋)を勧めている。

※女性セブン2012年12月27日・2013年1月1日号

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