日本プロ野球黎明期に、グラウンドを彩った選手たちが、もし現代のプロ野球に甦ったら――? そんな夢のようなテーマを元に、往年の名選手に話を聞いた。「史上最高のサブマリン投手」と謳われた、284勝右腕の山田久志氏(64)は、統一球について言及する。
「今年も昨年も、防御率1点台の投手が両リーグ合わせて6人もいる。僕らの時代なんて、(村田)兆治にしても東尾(修)にしても、防御率1点台なんて夢のまた夢でしたよ。技術の進歩も多少はあるかもしれないが、統一球の影響が大きいことは否定できない。統一球は指が抜けやすいから、落ちるボールが効果的。僕が現役最終年に覚えかけたスライダーなどは、もっと有効に使えたでしょうね」
そして同氏が指摘するのは、昔に比べて格段に広くなった球場について。
「どこの球場も両翼が10メートル近く深くなり、フェンスも相当高くなった。本当に投手有利の時代になったものです。僕が同じ条件でやってれば、通算被本塁打記録2位(490本、1位は鈴木啓示)や、日本シリーズの通算最多被本塁打記録(23本)は作らなかったでしょうね(笑い)。勝利数だって、結局300勝に届かなかったけど、今なら100勝は追加できるんじゃないですか」
※週刊ポスト2013年1月1・11日号