ライフ

赤門から仏門入りした気鋭僧侶が「一瞬を生きろ」と新春説法

ネット寺院、寺ライブ、未来の住職塾などを企画する松本紹圭さん

 2013年、新しい年をどう生きるか。受験、就職、仕事、人間関係など、様々な困難を乗り切る知恵を、浄土真宗本願寺派僧侶、松本紹圭さん(33)に聞いた。紹圭さんは、東京大学を卒業後、赤門から仏門へ飛び込み、インドでMBAを取得。インターネット寺院「彼岸寺」や、お寺カフェ、ライブ等を企画し、“お寺から日本を元気に”をモットーに新風を吹き込み続ける仏教界の風雲児。そんな若き改革者が“仏教的エール”を送る。

――職場でもプライベートでも、人間関係が希薄になりつつあります。

 人間関係の基本は、「依存」しないこと。仏教には「自灯明(じとうみょう)、法灯明(ほうとうみょう)」という言葉あります。自らを灯(ともしび)とせよ、法を灯とせよ。法というのは、仏法のことですが、もう少し一般的に、物の道理と考えていいと思います。自分と、物の通りを大事にしなさい、ということですが、それは自己愛を持てということではない。自分の人生は誰にも代わってもらえないと、覚悟を定めるということですね。

 他人の人生を生きてしまっている人って、けっこう多い。生きられるはずもないのに、流されてしまう。友人関係でも恋愛関係でも、依存するからしんどくなるんですね。依存しないためには、自分のものさしを持つことが大事です。

――どうしたら「自分のものさし」を持てるようになるでしょうか。

 一つは、いろいろチャレンジしてみることですね。それも本気で。私も学生時代から、いろいろやりました。音楽イベントを企画したり、アルバイトで政治家のウェブサイトを作ったり、将来の進路を模索して、就職活動もした。祖父が住職をしていましたので、幼いころから仏教に興味はあったのですが、うちはお寺ではありませんでしたから、普通の企業で働くことしか考えていなかった。でも、興味のないことをやっても仕方ないと腹を決めて、仏門に飛び込んだのです。

 お坊さんになってからも、ライブイベントを企画したりウェブの寺院を立ち上げたりと、必死に取り組んできました。お寺って、亡くなった人の場所だと思われがちですよね。それを、生きている人のための場所に変えたい。そのために、トークライブやカフェ、暗闇ごはんとか、みなさんに集ってもらう企画を考えてきました。

 月並みですけど、視野を広げるという意味では、海外に行くのもいいと思う。なんにせよ、一生懸命やることが大事です。

――チャレンジする際に、大事なことはなんでしょう。

 あまり勝ち負けにこだわりすぎないことですね。出世したいとか、認められたいとか、“状態”にとらわれすぎない。道元禅師は、「悟るために修行をしているのではなく、修行そのものが悟りである」とおっしゃっている。何か状態をつかむために取り組むのではないんです。状態にしがみついている人って、イキイキしてないですよね。輝いていない。人生は、その瞬間、その瞬間を生きることに尽きると思います。

 仏教では「人生修行」と言います。人生は修行。そして人間は刻々と変わっていく。一瞬一瞬に感謝して、大切に生きるしかないのです。

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト