相次ぐトラブルで運航停止となったボーイング787。同機には公募で決まった“ドリームライナー”という愛称があるが、その機体にはANAとJALの“夢”も積まれていたのである。
ところが、それは悪夢になった。昨秋から燃料漏れやバッテリーの出火、潤滑剤漏れなどのトラブルが頻発。今年に入ってJAL機(成田―ボストン便、1月7日)、ANA機(宇部-羽田便、1月16日)がいずれもバッテリーの不具合を起こしたことで、ANAとJALはB787の運航を停止。アメリカ連邦航空局(FAA)も世界中で運航中の50機の停止措置を求めた。FAAが運航停止命令を出したのは34年ぶりである。
ANA、JALともにB787の運航停止にともない、運航計画の変更を余儀なくされている。ANA広報室は、「ボーイング787は経済性・快適性・環境性能の高い飛行機であるとの考えに変わりはありません。現在は原因の究明、解決策の検討を関係各所とともに全力で取り組むことが最も優先すべき対応であると考えております」と苦しい状況を認めた。
一方、JALの広報担当者は、「現在のB787の保有機数が少ないことから、収支全体への影響は限定的と考えています」とやや距離のある回答だった。
両社の反応に温度差があるのには、事情があった。
「JAL関係者に聞いた話ですが、『ANAのほうが欠航が多いため、客が振り替えでJALに流れ込んでいる』とのこと。ANAにとっては泣きっ面に蜂のようです」(ジャーナリスト・町田徹氏)
※週刊ポスト2013年2月8日号